中国武術

屋外練習のススメ ~中国武術は屋外で練習しよう~

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皆さんは中国武術を練習する際はどのようなところで練習していますか?

私は中国人の老師たちと同じく屋外で練習しています。中国武術を練習する方が屋外で練習するのには様々な理由があります。

今回は中国武術を屋外で練習する理由やメリットについて、そして屋外で練習する際に注意するべきことなどを解説します。

中国武術が練習される環境とは

中国の庭園中国の庭園

中国武術が練習される環境についてまずは解説します。中国武術の練習は主に公園、地区の広場、邸宅の庭、邸宅内の練習部屋、国術館などです。

邸宅の庭、練習部屋は土間の場合もあれば、石畳、煉瓦敷きの場合もありますが靴を履いて練習します。

邸宅内の練習用の部屋で練習する場合は屋内ですが、それ以外は基本的には野外で練習するのが中国武術です。理由は以下の通りです。

  • 理由は移動範囲が広く狭い室内で練習するには不便だから
  • 槍や棍等兵器を操作するには空間が必要だから
  • 外に空間があるのにわざわざ室内で練習する意味がないから
  • ほとんど雨が降らないから

です。ただし設備の整った国術館や体育館がある、屋外が零下20度になる場合、黄砂で空気が悪い場合、雨の日、站?等の練習、人に見られたくない練習は屋内で練習する物もあります。

屋外で練習するメリット

中国の庭園中国の庭園

ここでは屋外で練習するメリットについて解説します。

空間を広く使える

屋外は広いので空間を大きく使うことができます。中国北派武術は歩幅が大きく、套路を練習する場合には一直線上を往復したり、縦横無尽に移動したりします。跳躍技法もたくさんあります。また槍、棍、刀、剣を練習する際にはさらに大きな空間が必要です。

屋外なら上面にも制限がなく、のびのびと思い切った練習ができます。

空気が通っている

屋外は空気が通って微風があったりします。室内の無風状態と比べて空気が循環しているため環境の良い所では新鮮な空気を味わいながら練習することができます。

天人合一を認識しやすい

屋外には壁がなく屋根がありません。よって天を見上げれば空があり、星の輝きが見え、
遠くをみればどこまでもつながる世界が見えます。

自分が大自然の中の一つ、あるいは森羅万象の一つであるという事実を再認識しやすいことが屋外練習を行う大きなメリットとなります。無限の空間の中で自分がおり、自分もその一つであるということを認識できます。

陰陽や五行を認識しやすい

屋外で練習すると天は果てしなく高く、地はどこまでも続くことを実感できます。また天気が変わり、太陽は絶え間なく東から西に動き続けることに気づきます。

季節は春夏秋冬にそれぞれに土曜を挟みながら循環します。

屋外で練習すると中国の思想がこれらを体系化したものであることを体で認識できます。中国武術の理論の成り立ちを体で感じることができる、これが屋外で練習する大きな意味合いです。

季節感や太陽の動きを感じる

上でも説明しましたが、屋内よりも屋外で練習するほうが季節感や太陽の動きを感じます。中国人が考案した五行の気の概念を感じ、太陽の動きをヒントに陰陽を感じてみましょう。

屋外で連取する際の注意点

中国の庭園中国の庭園

上で説明した屋外練習のメリットですが、屋外練習にはいくつかの注意点があります。ここでは屋外練習の注意点について解説します。屋外練習の注意点は以下の通りです。

粉塵や煤煙に注意

屋外では粉塵や煤煙が俟っています。地上からのもの、空から降ってくるもの、自動車や炊事で発生するものなど様々です。これらを鼻か口から吸いこんだり粘膜に接触すると有害です。練習は空気が清浄な時間帯、場所を選んで行ってください。

花粉症

花粉症を患っている方にとっては春先の屋外練習は過酷です。練習中は血行が良くなり鼻の通りもよくなりますが練習後に目がかゆくなったり、鼻の奥がふさがって息苦しくなり、鼻水が止まらなくなります。

花粉症の季節は花粉の飛ぶ時間帯を避けたり、屋外練習を控えたりと工夫してください。

春から秋の屋外は虫がいます。特に緑が多い公園には様々な昆虫がおり、その中には蚊等練習の邪魔をしてくるものもいます。夏場の夜間や早朝等涼しい時間帯は蚊が活動しやすいので、虫よけスプレーを持って行ったり虫よけを塗ったりして対処をしてください。

熱中症

屋外では天気が良ければ直射日光がそのまま降り注ぎます。日本人はどうやら炎天下の直射日光の下で運動をすることを好むようですが中国人は日陰で涼しく風通しの良いところで運動することを好みます。

炎天下で直射日光が当たる場所での練習は熱中症になるリスクを高めますので、屋外で練習する際には風通しのいい木陰などで練習するとよいと思います。

寒風

冬の肌を切るような冷たい風が頭に直接あたると頭が痛くなります。冬場の風の強い日はニット帽をかぶったりして練習すれば頭痛による体調不良を防げます。

天気

屋外の練習は天候に左右されます。突然雨や雪、濃厚な黄砂で練習ができなるなることもあります。定例の練習会もなかなか安定して開催できません。これは室内の練習に劣る条件の一つです。

兵器を練習しづらい

日本で屋外練習をする際に注意するべきことは、鉄製の兵器の練習が行いづらいということです。塀や土塁に囲まれた中世城館では問題ありませんが公園で練習する際に大刀や槍を練習する土壌はまだ日本では出来上がってるとはいいがたいです。

あほに絡まれる

公園などで練習している時、あほが絡んでくることがあります。興味を持ってくれて話しかけてくれるのはありがたいですが悪意をもって絡んでこられると面倒です。

警察に囲まれる

公園などの屋外で練習していると警察官がそこを通りかかることがあります。とくに夜の公園では警察官二人組から職務質問を受けたという話を聞いたことがあります。

本当かどうかはわかりませんが、金属製の兵器を屋外で練習していて、通報を聞いて駆け付けた警察に取り囲まれた人がいたとかいないとかそのような武勇伝を聞いたこともあります。

屋外で練習する際には節度をもって練習をするのが良いと思います。私も公園で練習しているときに警察官から話しかけられたことがあります。その際には中国武術を練習していること、公園で練習している理由、中国武術とは何かを説明すると二人組の警察官は愛想のいい笑顔で去っていきました。

屋外練習のススメのまとめ

中国の庭園中国の庭園

今回は屋外練習のメリットや注意点などを解説しました。

中国武術はそもそも邸宅の庭や広場、畑の横の空き地など屋外で練習し使用するように設計された体系を持っています。屋外で練習するものは何も中国武術だけとは限りませんが、武術はその体系が出来上がった背景を考慮して練習するほうが意味を掴みやすく上達の助けになると思います。

天気の良い日に風通しの良い広い空間で練習するのは気持ちが良いものです。屋外練習で汗を流しながら中国武術を発展させた土壌を考えてみてください。

このブログが皆様の中国武術研鑽の参考になれば幸いです。

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