中国武術

高齢の老師から中国武術を学ぶ際のメリットと留意すべきこと

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中国武術の学習は老師につくところから始まります。武術教室や武術館の老師は中年から老年の方が多く、中には90歳を超えても学生を指導していてる方も見られます。私は高齢の老師からも武術の指導を受けたことがあります。

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本日は、私の経験も踏まえ、高齢の老師に武術を学ぶメリット及び注意点について解説します。

高齢の老師から武術を習うメリット

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高齢の老師から武術を習うメリットは以下の通りです。

円熟した技術が学べる

高齢の老師は本人が研究に費やした時間が長く、多くの師から様々なものを学んでおり、
その技術が熟成されている傾向があります。よって学生にとっては、そのような円熟した
技術を学ぶ機会になります。

昔の話が聴ける

高齢の老師は昔の話をよく知っています。特に1949年以前の中国武術の状況について知るうえでは欠かせない情報源となります。もし身近に高齢の老師がいる場合、いろいろな質問をしてみましょう。なかなか自分から話してくれないことでも、聞いてみれば思い出して話してくれるかもしれません。

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経験が学べる

高齢の老師は、中国武術の研究期間が長く、相応の功夫(積み重ね)を持っている方が多いです。高齢の老師につけば、本人の研究の精華、つまり研究の集大成を学ぶことができます。中には教えてもらった時には理解できないこともあると思いますが、それを見て、感じ、聞いておくことは後々に何かのきっかけになることもあり、非常に重要です。

交友関係が広く自分の面識が広がる

高齢の老師は、これまで様々な武術活動をしてきており武術会に広い交友関係を持ちます。
旧正月やイベントの際には、他派の高名な老師が武館を訪問してきたリもします。武術大会の来賓にも招かれたりするため、底に同席すればこちらもいろいろな老師や武術会の主催者に顔を覚えてもらえるため世間が広がります。

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輩位が高く他派の方に敬意をもって接してもらえる

高齢な老師は概して輩位が高く、自然と自分の輩位も高いものとなります。そのため他派の方から敬意をもって接してくれるようになります。

あまりピンと来ないかもしれませんが、伝統的な中国武術界の中では、輩位や老師の上の代の繫がりはそこそこ重要で、それにより困ったときに便宜を図ってくれたり話しを取り次いでくれたりと、いろいろなことがあります。

高齢の老師に学ぶ際に留意しておくべきこと

将棋を楽しむ人々将棋を楽しむ人々

高齢の老師につくことは多くのメリットがありますが、反対に留意しておくべきこともあります。以下にそれを説明します。

技が枯れている

高齢の老師の動きは、精錬されて無駄がそぎ落とされています。それはつまり、枯れた動きとも表現できます。これもなかなか説明が難しいですが、動作がシンプルすぎてわかりにくいものであったりということです

本来あるべきものが老師の研究により省略されていたりします。動作が小さくなりすぎて外見から見ることが難しくなっていることがあります。そのまま模倣すると大事なエッセンスが欠落してしまう場合があり、注意が必要です。

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激しい動作をそのまま見ることができない

高齢の老師は往年の豪壮で迫力ある動きをすることができなくなっています。中国武術として正確な姿勢もできなくなっており、跳躍動作を省略していることも多いでしょう。往時の動きを目の前で見ることはできません。但しそれでも優れた老師は、本来はどのようにするべきかを学生に伝え、自分ができない動作はできない動作として解説を行い道筋を示します。

厳しい指導をしなくなっている

高齢な老師は学生に対し厳格な指導をしなくなっている場合があり、それが技術向上を妨げる可能性があることを指摘させていただきます。高齢の老師はいわば「爺爺(お爺さん)」です。孫やひ孫がいる年齢に達している方も多いでしょう。若いころは喧嘩っ早く厳格な指導をすることで有名な老師も、晩年は人間が丸くなり、それに従って指導方法も優しくなっています。

あまり長い間習うことができない

老師が高齢の場合、何十年という長い期間で武術を習い続けることは難しいです。なぜならば、あまり長くない時期にお別れが来てしまうからです。

これらの留意点を回避する方法

上記に留意点を列記させていただきましたが、これらを避ける方法はいくつかあります。

師兄から習い技術を補う

老師から武術を学ぶと同時に、高弟である師兄にも動作を見てもらいセカンドオピニオンをもらうことです。このようにすれば、老師ができない動作を学ぶことができ、激しい動作も学ぶことができます。

若いころの動画を参考にする

老師が若いころに表演した動画が残されているはずです。これを参照し、補うべきところを補っていきましょう。きっと参考になる部分があると思います。

まとめ

雨の公園雨の公園

私の山東武術の老師は、私が初めて会った時にはすでに80台半ば、じっくり腰を据えて学んでいた時はすでに90歳に差し掛かっていたと思います(老師の公称年齢と自称の干支には差異があるため実際の年齢には諸説あり)。私は高齢の老師から数々の武術を教えて頂きました。

学生時代、現地で老師と過ごした思い出は何物にも代えがたいものです。私は高齢の老師に就いて中国伝統武術を学んでよかったと思っていますしそれを誇りに思っています。

ですが、高齢の老師に武術を学ぶことにはメリットもあれば留意点もあることを皆さんにも知っていただきたく本日はこのようなコラムを書いてみました。

本日のコラムが皆様が中華武藝の高みを目指すうえでの参考になれば幸いです。

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