昨日の冷たい雨も止み、暖かい春の風の中に初夏の日差しが差し込む季節となってきました。
本日は、中国人が考える哲学において、重要な位置を占める「三才」について解説します。
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三才とは
中国の風景三才とはつまり以下の事柄を表します。以下にそれぞれを解説します。
天の時
天の時とは、いわゆるチャンス、環境、タイミング、時勢、世情、時流、天候までを包括する概念です。世の中には時勢というものがあることが事実です。いくらもがいても成果が出ない時もあれば、絶好の時勢を活用すればその勢いを借りて畳みかけることができます。
例えば、ビジネスでも景気が良ければ少々下手な商売でも成功しますが、不景気な状態でビジネスをしても、それが優れたビジネスモデルであったとしても成功する保証はありません。
天の時は循環し、周囲の環境は刻々と変化し留まることがありません。その中で天の時を的確に捉え活用することで進退をすすめるチャンスを得ることができます。天の時を読むことは簡単ではありませんが、アンテナを高く張り、いち早く情報をキャッチし、敏感に対応することで時勢を把握することはできると思います。
ちょうど曹操が100万の大軍の大軍を擁し、献帝を仕立てて諸国に号令を下す勢いがこれです。
地の利
地の利とは、地理的近さ、交通の便利さ、険峻さ、または土地勘、地縁等を言います。例えば学びたい老師がたまたま自分の家や職場の近くにいる、という場合に地の利が聞いています。ただし地の利は、交通機関の発達によりハンディを克服できる可能性を秘めています。
三国志で例えるならば、長江によって隔てられた地の利を占めた地勢を持ち、地縁を得ている孫権がこれです。
人の和
人の和とは、人間関係、交友関係、外交、人脈、縁分、人柄を指します。武術でいうと「武縁」というものがあります。それは武術家と武術家のつながりです。伝統武術家は概して保守的であり、見ず知らずの者と知り合ったり、技を教えたりすることに警戒心を持ったりすることがあります。
もし信頼のおける知人や懇意の友人の紹介であれば老師は快くあなたを迎え入れてくれるでしょう。普段の温和な人付き合い、円満な人間関係を築く努力、立ち振る舞い、協調性、これらは中国武術の世間を広げるうえでなくてはならないものです。
三国志に例えるならば、荊州で北方出身者や劉表の臣下を登用し、勢力を拡大した劉備に例えることができます。
三才とは、また世界は、天、地そしてそこに人がいることにより成り立っているという一つの価値観でもあります。
- 森羅万象は、原子とその組み合わせにより構成され作用している、
- 万物は何者かによって創造された、
- 宇宙は偶然と偶然が重なりあい出来上がってきた
等等と同様に一つの価値観を構成します。
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三才（天地人）の出典
中国の風景天地人の出典は、
孟子『公孫丑章句上』一節の「天時不如地利。地利不如人和」（天の時は地の利に如かず 地の利は人の和に如かず）と言われており、ここでは、人の和がもっとも重要、地の利はそれに次ぎ、天の時はそれに次ぐ、となります。中国の伝統的価値観の場合、一般的には天を最上位に持ってくる場合も多いです。
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中国武術における三才
中国の風景中国武術では、3種の動作、3種の形、3種の套路等、３つの〇〇があるときには好んで三才が使われます。中国武術に限ったことではなく、中国文明全体に於いてそうです。
例：三才剣、三才拳 などなど
三才の名の由来を尋ねてみれば、「天、地、人の結合（一体化）」を求めて名づけられていたり3種の小套路がまとめられて一つの套路をなしている場合（例、天の段、地の段、人の段）要するに、３の代用、３の雅名として使うことが多いです。哲学的な意義と形がリンクしている場合もあれば、３＝三才としてあてつけた様なものもあると思います。
中国人がよく使う三才の事例
中国の風景中国人が中国人の感性で、もっともよく使う三才の使い方は、
何かのチャレンジ、兆戦、新規事項の立ち上げ、等においてこれらを成功に導く条件として
- 天＝時勢をうまく読みタイミングが妥当である。
- 地＝地勢に利するところを抑えている。交通の要衝を抑える。
- 人＝人脈、貴人（あなたへの協力者）を多く抱える
の３件がすべて重なり合う時、事柄は成功する。として、激励や賞賛に借用されます。
私の人生において三才をあてはめた実例
中国の風景私の人生において、三才をあてはめるとしたら、八卦掌の呉国正老師の門を叩いたことがこれに当ります。
- 私の山東武術の老師が亡くなり、新たな方向性を模索していた時
- 私はたまたま呉老師の家の近くに住んでいました。
- そして、呉老師の日曜日の八卦掌を訪ね、教えを受けることができた
という実話があります。2010年11月の話しです。
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中国武術と三才のまとめ
中国の風景皆様も今までの人生を振り返ると、多かれ少なかれ、天の時、地の利、人の和による成功体験をお持ちだと思います。
本日は、中国武術の話題とはすこし離れましたが、
- 新規ビジネス、
- 事業の立ち上げ、
- 別の世界への挑戦、
- 心機一転未知の土地でのスタート
等にて中国人の哲学の知恵を借り、人生観を考えてみるのも面白いのではないでしょうか。
中国武術の中で三才、五行、六合等数字現れた場合、「どういう意味だろう」と調べてみると良いと思います。そこにはきっと中国文明の歴史と知恵、哲学が詰まっています。中国武術がきっかけで中華の思想に触れ、それを人生に活用できれば素晴らしいのではないでしょうか。