本日は梅雨の合間のいいお天気でした。日差しが強いですが、気持ち良い風が吹く練習日和でした。日差しの強い時間帯の練習になりましたので木陰を中心に練習を行いました。
本日の練習内容 2020年6月21日
本日の練習内容は以下の通りです。
基礎十二式
本日は、以前練習した甩手式、柔球式、七星起式、掩手式に加え、穿掌式を追加で練習しました。参考として以下に動画を添付します。
甩手式
腕を振る動作です。下半身の動作で上半身の腕を振り回します。
柔球式
やわらかいボールを体の前で弄ぶようにします。腰や股関節をやわらかく使うようにします。
七星起式
足を前後に開き、弓歩のような姿勢を取りながら両手を交互に引く動作です。
掩手式
弓歩を左右交互に行いながら相手の手を挟むような動作を行います。
穿掌式
顔の上のほうを突きあげる動作です。指先が頂点まで動ききったところで掌を翻し腰の方に手を戻していきます。
淌泥歩
基礎十二式の練習を行って跨関節を緩め、体を温めた後、淌泥歩の練習を行いました。
基本の淌泥歩
程派高氏八卦掌の基本歩法である淌泥歩の練習です。手は地面を抑えるように自然にバランスを取ながら、足の全面を着地させ、擦るように(泥の中を歩くように)進むのがポイントです。歩法を行う際には、レールの上を歩くように一直線上を歩きます。足は肩幅に開かず、直線状を歩きながらバランス感覚を養成します。
淌泥歩+雙撞掌
基本の淌泥歩に加えて技撃性動作を形に組み込んだものです。肩の高さに「圏」(サークルのようなイメージの空間)を保持した形で前進します。
淌泥歩+雙抱掌
こちらも基本の淌泥歩に加えて技撃性の動作を組み込んでいます。肘を合わせ、体の前に掌を作り、前に押しだす姿勢を保持しながら前進します。
地支八卦
上の3種の淌泥歩練習を行った後、程氏高派八卦掌の特徴である、六十四種の技撃性動作(地支八卦)の練習を行いました。
開(Kai)
地支八卦の第一掌「開」掌です。相手の防御を開き、掌打を打ちこむ技法です。力のソースは後ろの足で地面を蹴りだす力です。上半身はリラックスし、地球を蹴った力が体の中をスムーズに抜けていくようにすれば楽して強い力が打てます。
捧(Peng)
地支八卦の2個目動作です。攻撃を受け、横に移動して攻撃をさばきつつ、脇腹、腎臓に、掌打を打ちこみます。移動しながら防御と攻撃動作を行うことを意識して練習してください。
扽(Dun)
地支八卦の3個目の動作です。顔面の攻撃を穿掌で防ぎ、両手で下に落としてバランスを崩したところを、顔面にむけて掌打を打ちこむ技法です。防御の際、両手で腕をつかむ際、掌打を打ち込む際は、動作はステップワークと同時に行います。
本日はこれらの3種の動作について2人一組になり、打手(打ち方) と卸手(受け方)とを交互に行い、要点の把握とタイミングの掴み方を練習しました。
八卦掌では打つ方は打つ方で歩法を動作とセットで行いますが、受ける方も上半身だけを動かすのではなく、下半身を移動させることにより、ステップワークとともに防御動作を行います。
これらの動作は慣れるまではなかなか難しいです。なぜなら移動中はどうしてもバランスが崩れるのではないかという恐れが発生するからです。八卦掌では移動しながら不安定さを活用しつつ、不安定の中で安定して動けるように訓練します。これにより霊活さと安定さという本来矛盾する概念を両立させます。
とても難しいように思うかもしれませんが、私たちはこれらの動作を日常生活で使っています。例えば2本の足だけで歩く動作です。本来安定して立とうと思えば3本以上の足がいるはずですが、鳥類や人間は2本の支柱だけで立ち、歩いたり走ったりできます。
また自転車に乗って走っている状態も本来は不安定な状態を安定な状態にしている動作です。知らず知らずのうちに皆さんがやっていること、これを武術に能動的に使っていけば有利にことを運ぶことが可能になります。
まとめ
本日は、基礎十二式、淌泥步、地支八卦、という程派高式八卦掌のオーソドックスな練習順序で練習を行いました。本日解説した内容で重要なものとしては、「練拳就是練腿」(拳を練ることは即ち腿(下半身)を練ることである)という概念です。身法も打も、中国武術では下半身の力を上手に上半身に伝えることで行います。当然、予想以上に足腰にきます。
中国武術は基本功として下半身に過大ともいえる負荷を課したり、十分すぎる時間をかけて脚部、腿部のトレーニングを行います。これは、脚部を練ることにより、整体(全体)の力を養成するためのものです。
下半身は体重を支えたり、走ったりするためにもともと太く大きな骨格と筋肉があります。これをさらに練り上げて、足腰の骨格を最大限有効に使っていこうかということが中国武術の根幹の考え方の一つです。