愛知県での新型コロナウイルスの状況は比較的落ち着いています。まだまだ油断はできませんが、本日も愛知県豊川市諏訪公園にて野外練習を行いました。本日は3人での練習となりました。
今日の練習内容
今日の練習内容は以下の通りです。
拉筋、放鬆功
練習をするに当たり、まずは体の柔軟性、可動域の向上、力みを取ることを目的に、ストレッチ、ファンソン功をいくつかやりました。練習の初めにストレッチをすると最大筋力が下がるという説もありますが、今のところけが防止の観点からも、練習の初めには入念なストレッチを取り入れています。
基礎十二式
甩手式
基礎十二式の第一動作です。甩(シュワイ)とは「振る」という動詞であり一般的な単語ですので甩手という名称にもさまざまな動きがあります。基礎十二式の甩手式では上半身の放鬆を心がけて行い、体の前で腕を振り上げる際には、体の正中線上を下から上に上げ、相手の攻撃を防ぐ意味合いが含まれます。
揉球式
基礎十二式の第二動作です。大きなボールを抱えたイメージを持ちながら体を動かします。揉球式という名称が示す通り、円ではなく、柔らかく立体的な「球」を弄ぶイメージで練習する動作です。「跨」の柔軟性、霊活性(自由さ)を養う練習です。相手の攻撃を受け流すという防御的な意味合いが含まれます。
七星起式
基礎十二式の第三動作です。跨の霊活性を練ります。後ろ足の踵が浮いても問題ありません。負荷が高い場合は、高架(高い姿勢)で練習しても大丈夫です。これにも腕をロックし「拿」をかける、そしてそのまま「摔」(投げ)に移行するという攻防動作が含まれます。
趟泥步練習
本日は八卦掌の歩法練習として、趟泥步を3種類練習しました。
基本の趟泥步
基本の淌泥步です。手は地面を支える形を作り、バランスを取ながら、足全体(足の前の方を中心として)を地面に軽く触れた状態で前進する動作です。すり足のような形になります。頭、腰の高さを変えずスースーと前進します。両足は一本の線上を踏むように進みます。
この段階ではまだ技撃的な意味合いは動作には含まれません。まずはバランスと足運びを集中的に練ります。
上半身は無駄な力みを取り、目は何メートルか先の地面を見ます。首筋は自然に伸ばし、猫背にならず、胸は張らず、窄まず、肩や肘は自然に下におろします。口は軽くとじ、舌先を上前歯の付け根に当てて、ゆっくり深く自然呼吸を行います。
雙撞掌+趟泥步
基本の趟泥步で歩く動作がインプットされたら両手を前に出し、円の形をキープしながら趟泥步を行います。この形を雙撞掌といいます。下半身だけでなく上半身の姿勢の要訣が加わるため動作全体がやや難しくなります。
雙撞掌は字の如く相手にぶつかる「撞」という攻撃性動作が加わります。手で描いた円がつぶれないように適度な張力を維持することが重要です。
雙抱掌+趟泥步
趟泥步に雙抱掌の手型を加えて歩きます。雙抱掌は掌を体の手前に作り、両肘を付けた状態で前進する動作です。勁力の養成に意味がある動作です。慣れないうちは上半身に相当な負荷がかかりますが、これに習熟すれば、短い距離から有利な打撃を打てるようになります。
八卦掌は一見体をのびのびとした動作が多いようにも思いますが、実際には上半身も相当な負荷をかけます。しかしこのつらい苦しいをこつこつ積み重ねる先に光明があります。行ってしまえば中国武術とはそういうものです。
体の負荷を調整しながら継続的に練習を積み重ねれば体はきっとその気持ちに答えてくれます。
まとめ
6月になり、温度が上がってきて軽い運動でもかなり汗ばむ季節となりました。本日は幸い天候にも恵まれ、柔らかい日差しの中で気持ちの良い風が通り抜ける天気となりました。
本日は、山東武術についての質疑応答、歩法の実践と解説、また、中国武術の概念である「打踢摔拿」(拳打、脚撃、投げ、関節)のシームレスな統合について解説し、実演を行いました。
中国北派武術を現代格闘技の分類に当てはめると、打撃系に分類されることになりますが、実際には打と踢(打撃)、と拿(極め技)そして摔(投げ)が総合的に統合された技術体系になります。さらにこれに養生術と兵器などが合わさって全体の体系が出来上がります。
八卦掌に限らず、中国武術の練習を行うと、体全体の協調性、体の反応性と追随性を上げることができ、ソフトとハードの結合性が高まるような気がしてきます。これについては今のところ主観的な実感にすぎませんが、体の動きがよくなった、体が軽く感じる、等は、エクササイズの効果としては現実的にあると思います。
1時間半の練習の予定が2時間ほどになってしまいましたが、いろいろ紹介できた部分がありました。