皆さんは普段、一回の練習にかける負荷はどのくらいでしょうか。体が温まる程度、へとへとになるくらい、様々なやり方がありますね。私はいつも練習は大体75%程度で終了するようにしていますし、これを練習生の方にも勧めしています。
本日は、練習は75%でやめる、について解説します。
目次
練習を75%程度で抑えることのメリット
練習を75%程度で抑えることのメリットは以下の通りです。
集中力が持続する
ウォーミングアップを行い体が温まってくると体が軽くなり、気分が高揚し、集中力が上がっていきます。そして、長時間の練習、または運動強度過多による疲労感から、集中力はやがては下降していきます。75%程度で運動を終了すれば、集中力が下がり効率が落ちる前に練習が終了できます。
疲労を防ぐ
体は運動強度の高い練習を行ったり、長時間同じ動作を反復すると、疲労が蓄積します。筋肉や腱に炎症が発生し、心や精神的にも疲弊します。自分がいっぱいいっぱいがんばったー、というところの75%程度で練習を終了すれば、肉体疲労、精神の疲労感を抑えながら長い間練習を楽しめます。
疲労を翌日に持ち越さない
行き過ぎたトレーニングは、体に疲労を蓄積させ、翌日に疲労を持ち越す原因になります。練習は程度の良いところで切り上げましょう。また先輩や師兄に習って負荷の高い姿勢や動作を真似することもやめた方が良いと思います。
免疫力を高める
適度な運動は免疫力を高めます。「適度な運動」というところがポイントです。もし運動強度が高い動作を行う場合は十分な休憩をはさんだり、ローテーションを組んで負荷が集中しないように心がけてください。
充足感を高める
心地よい運動とは、へとへとに疲弊してしまう様なものではなく、適度な負荷の中にあります。そのような適切な負荷で練習を行えば、体の調子を整え、心の充足感を高めてくれます。
投下労力、投下時間当たりの効用が高い
練習はすればするほど練習量は累積は多くなります。そして、練習をすればするほど、公判では集中力が下がり、疲労が動作の足を引っ張るようになります。そして投下労力と投下時間当たりの効用はどんどん低下します。
練習負荷を自分のいっぱいいっぱいの75%~78%程度で留めることで、投下労力、投下時間当たりの効用を最大限に高めてくれます。
練習を75%程度で留めるデメリット
練習を75%程度で留める場合のデメリットにも敢て言及します。
限られた時間内での技術向上のペースが遅い
練習の負荷を75%に留めてしまい、追い込みをかけないことは、限られた時間(2週間など、)で長期的な体調の維持を無視し、パフォーマンスのみを追求する場合においては、技術向上のペースが遅くなり、ライバルに後れを取ります。
まとめ
中国伝統武術というのは、技撃性の追求だけに囚われず、
- 用(使い方)
- 体(体作り)
- 運(意、運動神経の訓練、四肢の操作方法)
- 健(健全な状態の維持)
- 養(健康状態を保つ)
- 藝(芸術)
等を内包した、概念です。
中国人は「中庸之道」として、運動強度を高め過ぎたり、オーバートレーニングによって不調を起こすことを戒める智慧を持っており、長い間生涯にわたって、愉しむものとして中国伝統武術を捉え、生活の一部、または人生の一部としてそれを取り入れています。