中国武術

中国武術の攻防技巧における距離感についての考察

中国武術と距離感

GWとなりました、皆様いかがお過ごしでしょうか。本日は、中国武術の技撃(攻防技術)について、思いつくところがありましたのでいやいやお話をしようと思います。本日解説するのは技撃における距離と圏(自分のスペース、テリトリー)についてです。

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中国語における圏とは

中国の風景中国の風景

中国語では、自分のテリトリー、スペースを「圏」という概念で表現することがあります。
自身が制する領域、制空域、勢力圏、などと同様の概念で良いと思います。

武術や武道、格闘技をされている方は、徒手、武器に限らず少なからず同様の概念をお持ちだと思いますし、一般の方でも、パーソナルスペース、ソーシャルディスタンス等として、概念的には、脳はこれを知らず知らずのうちに認識しています。

パーソナルスペースがどの程度かは人によりますが、他人が自分の近くに入り、不快に思うかどうかという点で判断できます。これについては、文化と環境で許容範囲が異なり、日本人は東方文化の中では比較的距離を広めにとる傾向があります。

お買い物で並んでいる時の状況でこれがわかります。中華圏では日本よりやや狭い距離を保ちますし、欧州ではパーソナルスペースを日本と同様やや広めに確保します。

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一般的な圏の基準

中国の風景中国の風景

一般的な圏の基準としては、手が届く範囲、防御的に考えると相手の手が届く距離、攻撃的に考えると自分の手が相手に届く距離あるいは衝撃力を相手に与えられる距離というのが基準になります。

 

私の場合、長く親しんだ拳種は螳螂拳ですので、空間把握の方法論について、まずは螳螂拳の概念を借用し説明を行います。

防御における門

中国の風景中国の風景

螳螂拳では、防御体勢を「門」という表現で表し、攻撃を防ぐには、多重の門を厳重に守るという概念を採用します。

  • 梢節の門(拳、脚)遠距離
  • 中節の門(肘、膝)中距離
  • 根節の門(肩、跨)近距離

がありその中に守るべき中枢がいるという構成です。

先ずは、外壁である、拳脚の距離で迎撃を行い、流す、受ける、跳ね上げ、点撃という攻撃による撃退を行います。外壁から侵入された場合、肘、膝による迎撃とブロックを行い、更に侵入された場合には、肩や跨により迎撃するか肩や跨で攻撃の急所への直撃を避ける回避運動をとります。

人間には足がついています。足は攻撃にも使えますが、基本的には移動のための駆動装置です。これを能動的に使い、相手が進撃すれば後退し、相手が後退すすれば歩を進めれば自分のリーチの中に相手をロックオンし続けることができます。

私の場合、梢節の門(拳、脚)遠距離の外に、「梢節+一歩」の距離を防空識別圏として独自に設定しています。そしてこれより外は防空識別圏外として安全圏と認識します。

攻撃における門

中国の風景中国の風景

攻撃に於いては、相手の門をどのように破るかつまり「破門」のテクニックがポイントになります。

危険を察知した人間は、門を閉じ防御態勢を取ります。そのままでは閉じられた厚い門に正面衝突をするということになってしまいます。この状態では攻撃は成功せず相手に決定打を与えることができません。攻撃は簡単に迎撃されるでしょう。これを破るには虚実、つまりフェイントや駆け引きを使いながら門を破る、裏口のカンヌキを開く等のテクニックが必要です。

外門を破っても中には中節の門、根節の門があり、これらを通らなければ中枢にダメージを与えることは難しいです。門を流していく、門を潰す、など様々なアプローチがあります。私なら玄関のインターホンを押して相手が外に出てきた瞬間に裏の勝手口から相手の圏内に入りこみ仕事をします。

これについて一応、概念図も作ってみました。参照ください

中国武術と距離中国武術と距離

今回は、あくまでも螳螂拳の概念を借用し、私の知見を加えた説明であり、空間把握の考え方は門派、個人により異なります。

特に通背拳の場合、拳の距離は螳螂拳よりも拳一個分程度遠くとります。近接靠打の技術に秀でてる方、または引き込んで受け流す、摔法(投げ)に長じる方は、重心と重心とを重ね合わせるほど密着した距離感を好む方もおられます。

中国武術には武器術も含まれる(むしろ武器術が一般的な中国北派武術の核心)であるため、その距離感を考えることも上達の一助になります。

中国武術と圏についてのまとめ

中国の竹林中国の竹林

中国武術は一人練習のカリキュラムが非常に充実しており、自分のペースで運動や練習を行うことができるように工夫されています。中国武術を本当に使う場が出来上がってしまうことは、わたしは感心しないですが、本質的には技撃(攻防技術)ということから、自分の他人の駆け引きにおける技術が内包されています。

上で申し上げた通り、門派、個人の嗜好、体質、練習経歴により、この概念は十人十色、それぞれが異なります。ですが、黙々と行う一人での反復動作に飽きた時、気分転換に距離感について考えてみてはいかがでしょうか。

本日のブログに興味持って頂ければ幸いです。

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