GWのお休みも後半に差し掛かってまいりました。皆様いかがお過ごしでしょうか。
今日は私は公園に動画を録画しに行きましたが、風が強かったのでやめにしました。
ところで皆さんは、
- 「基本だけやっていれば十分だ」
- 「型はこれとこれだけやれば他は必要ない」
という類の言葉を先輩や知人から聞いたことは無いでしょうか。はっきり言ってこれはウソです。本日は、基本だけやっていれば十分という嘘八百について解説します。
目次
基本だけやってれば十分の嘘
中国武術の練習において、基本だけやっていれば十分であるということが嘘である理由は以下の通りです。
基本だけやっていれば十分なのに、基本以外の体系が存在する
本当に基本だけやっていれば十分なら、基本と呼ばれるもの以外は一切不要なはずですので、練習体系に存在しないはずです。でも実際には基本以外の練習体系が存在します。これの事実は基本だけやっていても十分ではないことを物語っています。
そもそも上級編があるから初級編があるわけで、応用があるから基本があるわけです。基本がすべてなら、それは基本とは言いません。中級編、上級編、その応用を学ぶために基本は必要ですが、基本だけでは十分ということは決してありません。
「型はこれとこれだけやれば他は必要ない」という人は、実はこれとこれ以外もいろいろできる。
型はこれとこれだけやれば他は必要ないという人は、実際にはいろいろなことを習ったことがありいろいろなことができます。自分が必要ないと言ったことを練習に取り入れています。
実際には、型、套路と言われるものの中には、技術内容を平均的に盛り込んだ潰しが効く物が存在します。時間や体力の制約で、体系全体の練習時間が取れない場合、潰しが効くものだけをかいつまんで練習し、時間と労力的リソースの節約を行うことは可能です。
私も、必要な物だけをピックアップし、練習することはよくあります。ですが、「これとこれだけやれば他は必要ない」のような考えを持ったことは一度もありません。
実際には重要性の高い低いは存在しますが、全く必要ないものは、技術体系に組み入れてはいないと思います。
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一通りやってみれば基本の大切さがわかる、という言い方をするべき。
基本を学び始めたころは、全体のシステムがまだ見えていないので、外形や振り付けの意図を理解しない状態で姿勢、動作を反復します。ですが、一通りの技術体系や振り付けを学び終え、技術が消化され熟成された頃には、基本功の大切さがだんだんとわかるようになり、口頭、または活字でも説明と注釈を行えるようになります。
基本はとても大事だということを強調するあまり、「基本をやっていれば十分」という表現をしてしまう方がいるかもしれませんが、実はこれは「基本だけやってれば十分だというくらいの勢いで基本は基本として重要だよ」という意味合いです。
「要練拳,要練基本功.練基本功就夠了」を直訳すると、(練習するなら基本功を練らなければならない、基本功だけで十分だ)となります。ですが、私にはこの言葉はそのようには聞こえません。私にはこれが「練習するなら基本功をやらなければならない、基本功をやっておけば十分だといえるくらい基本功は重要」と聞こえます。
「基本が全てだ」も間違い
「基本が全てだ」も間違いです。ただの誇張表現です。基本は技術体系の核心ですが、全体の体系から見るとその一部にすぎません。但し、中国武術では、その重要性を誇張し、このような表現をすることも多々あります。
ネイティブはそれらの誇張表現の向こう側にある感覚的本質を理解しています。ですが、残念なことに、中国語を母語としない外国人にとっこれを正確に理解できないことがあるんです。
理解できない部分について人間は既知の経験からそこを補おうとします。例えば地理的に中国に近いという理由でよく中国武術を習いに訪れる外国人である日本人は、自分たちの文化的背景を以てこれを解釈するか、または通訳が直訳したことを直接日本語に置き換えて考えるか、を行ってしまいます。
中国人の師兄の耳にしっかり耳を傾けてみてください。おそらく
「其實,基本功是很重要的」(まあでも、基本功はまあ重要だ)と言っているはずです。
基本だけでやってれば十分が嘘であることのまとめ
基本功は重要です。ですが基本功だけでは全く十分ではありません。基本功はその次へのステップのためのただの土台に過ぎません。基本功ができたら、中級動作、上級動作、応用と霊活多変で変化無限の世界が待っています。そこまで来てまずまずといったところになります。
基本功は学校の授業でいえば、「あいうえお」の書き順を習っている段階です。そのずっと向こう側に「掛け軸」や「額」にあるようなその瞬間の心情や心を書に著した作品が待っています。
さらに中国武術は対人場面の護身術という面も秘めています。つまりこれは実用性の部分です。基本功ができたらその向こう側には膨大なカリキュラムとそのカリキュラムを咀嚼し消化してこそ出来上がる無限の境地があります。
中国武術を練習する際には、人から聞いたことをうのみにするのではなく、自分の目で見て、自分で考え、判断する目を養ってください。
中国の現地人の感性を持ちながら、客観、公正、公平な視点で、分析、評価、比較、検討をすること習慣にして、疑問を持って練習し、ライバルに差をつけよう!