ほとんどの方は、普段、日本人の老師に中国武術を習われていると思います。その中には、自分も現地の老師に習ってみたいと思っている方もおられるかもしれません。
私は育った環境が首都圏や京阪神ではなかったため、近くに本場の中国武術を教えてくれる場所がありませんでした。中学3年から中国武術を始めたわけですが、初めは大阪で日本人の老師から習い、後に台北の武館で山東省出身の老師から教えを受けることができました。
本日は現地で老師から中国武術を習う方法について私の実体験等を踏まえ、解説します。
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目次
現地で中国武術を習う方法
現地で中国武術を習う方法にはいくつかあります。何も考えず、日本を飛び出すという方法もないわけではないですが、今回は現実的に、社会生活、家庭生活し人生が成立するという前提での中国武術を現地で学ぶ方法を紹介します。
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日本採用で駐在員となる
武術の習得しながら資産形成をしたいという方に最もおすすめなのは、日本採用の正社員として現地法人に勤務することです。いわゆる駐在員です。住居費は全額会社持ち、子供の学費も会社持ちで家族で現地に住めます。ただし、業務の責任が大きいこと、付き合いが多くなることで練習に制約が出ることがあります。
現地でビジネス拠点を持つ会社に就職し、正社員として実績を積まなければ駐在員になれないため今回紹介する方法の中で最もハードルは高いですが、待遇としては最も優れています。
長期出張者になる
現地に長期出張しながら武術を習うという方法です。ホテル住まいの単身赴任状態となりますが、海外出張手当がでるため準駐在員並みの待遇を受けることができます。こちらも相応の業務経験と実績がなければ出張に出させてもらえないのが一般的です。
交換留学
日本の大学在学中に1年間現地の大学に交換留学する制度です。現地の大学で取得した単位は日本の所属大学の単位として認定されるため有利です。4年で日本の大学を卒業でき、通常の就職活動の流れに乗り遅れることなく就職活動に参加できることも強みです。ただし、入学した大学に、行きたい都市の大学との交換留学提携があるとは限らないこと、行きたい大学に交換留学できる保証がないことがデメリットです。
大学、大学院への正規留学
現地の大学、大学院に外国人留学生の枠で正規留学するという方法です。授業は中国語または英語で行われるため、語学を習得しておかなければ授業についていけませんが、学位を取得しつつ、武術を学べます。ただし、大学の単位取得は日本より厳しく、卒業へのハードルは高いです。
大学院留学をする際にはビジネス系(商学、経営学、国際企業管理)がお勧めです。英語で行う授業も選択でき、内容も学術研究ほど難しくありません。
学費は日本より安い場合が多く、さらに政府機関、民間団体、大学から返還不要の奨学金があれば申請できます。ただし、日本の通常ルートでの新卒就職活動は行えないため、卒業後の進路について、日本の大卒の就活より不利です。ですが、外国の大学の学位は日本でも通用するため、マッチした求人を見つけることができれば、海外出張、海外勤務の流れに乗れる可能性があります。
中国民間武術研鑽サークル(大阪・東京)を運営している川津康弘先生は、西北大学の博士課程に在籍しながら現地で太極拳を習得しています。
私は大学院留学で台北に滞在し八卦掌を学びました。学費と生活費は、奨学金で賄えました。
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語学留学
現地の大学や語学学校で語学を学びながら武術を学ぶという方法です。授業時間は一日2時間から4時間ですので空いた時間に武術を習うことができます。大学を休学して語学留学をすれば、就職活動の際、語学能力を武器に就職活動ができます。
語学が上達すれば武術の理解が深まり、武術を習いながら中国語を学べるので一石二鳥です。ただ、大学を休学したり、キャリアにブランクが出たりというデメリットが発生します。
デメリットを考えても語学留学する価値はあります。大学生にお勧めです。
現地採用
現地の企業に現地採用され勤務しながら武術を習うという方法です。駐在員よりも業務責任は軽いです。ですが、待遇は現地人+αであり、住居費自腹、日本の国民年金も任意で自腹で払う必要があります。現地企業から正式な労働ビザの証明が取得できるので、合法的に長期滞在が可能です。一定以上継続して勤務した場合、永住権の申請が可能です。
日本語教師
現地の日本語学校に就職する方法です。勤務時間が短いため自由時間ががたくさんあり練習する時間が取れます。ですが収入が少なくなるため資産形成をすることは難しいです。正規の労働ビザが取得でき長期滞在ができます。
現地でビジネス
現地でビジネスを立ち上げ滞在するという方法です。販売店、飲食店など様々です。現地で法人を立ち上げ、投資家として滞在ビザを申請することもできます。長期滞在すれば永住権も申請できます。
フリーランス
翻訳家、執筆家、youtuber、ブロガー、システムエンジニアなど、働く場所を問わない形態の業務を行いながら現地に滞在し、武術を学ぶという方法です。IT技術の発達により現実的に可能です。
文化を学習するためのビザを取得し滞在
所属する武術館が政府機関と繫がりがある場合、武術館の老師から証明書を発行してもらい文化を学ぶという名目でビザを申請し、滞在する方式です。私も一度利用しています。
配偶者ビザにて滞在
現地の方、または現地出身の方と結婚し、配偶者ビザを取得しながら滞在し武術を習う方法。これも私ではありませんが前例があります。
資産型ビジネスを立ち上げ、現地に通う
会社非常勤役員、不動産賃貸業など、勤務の必要がない形態で収入を確保しつつ、定期的に現地に通うという方法もあります。先輩がこの形式で現地に通っています。
サラリーマンの長期休暇を利用して定期的に現地に通う
会社員をしながら、お盆、GW、年末年始、有給休暇を使って定期的に現地に通う形態です。現在の私はこの形態で練習中です。年末年始とお盆は現地で休暇を過ごしつつ、老師の下で武術を習っています。
一定期間現地で系統的に武術を習い、基礎が出来上がっている場合、半年一度の学習でも成果は得られます。ですが、習い始めの場合は、半年に一度の学習と半年間の自習では、成果を得ることが難しいというデメリットはあります。
私の通った道
私の個人的な話をすると、私は、電車も汽車も走っておらず、バスは一日4度しか来ない田舎で育ちました。小学校の校区は広大でしたが信号は一個もなく、家には上下水道も通っていませんでした。(1980年代の話です)
そんな私が通った道は以下の通りです。
- 日本の大学を休学しての1年間の語学留学大学
- 大学3年目で卒業単位を全部取得し就職を決めたため、「文化を取得するためのビザ」にて半年間台北に滞在
- 27歳からの大学院留学。
- 帰国し就職後長期出張にて台北に舞い戻る。
- 長期出張終了後は、お盆と年末年始、休暇を兼ねて現地で過ごし武術を習う。
まとめ
それぞれ一長一短がありますが、せっかくですから正社員での駐在員を狙ってください。孟子の言葉に、「恒産なくして恒心なし」という言葉があります。意味は、以下の通りです。
「しっかりした経済的基盤がなければ信念に貫かれた安定した心を保つことはできない」
駐在員、長期出張がおすすめですが、長期で滞在するには、語学留学も選択肢に入ります。一生の財産になります。