中国武術

八卦掌の健康増進効果 ~八卦掌の健康増進効果の具体的事例~

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私は「八卦掌は健身効果が高い」、という解説を見たことがあります。みなさんも八卦掌の説明や紹介でこれに類似する話を聞いたことがあるのではないでしょうか。

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では八卦掌が、何をもって、どの程度の健康増進効果を持ち、一般的な有酸素運動を比較した場合にどのような優位性があるのか、ここまでを詳細かつ具体的に説明したものを私はまだあまり目にしたことはありません。

中国武術を研究されている方の日本人の方の中では、八卦掌の具体的な健康増進効果については周知の事実であり、私の研究が深堀できておらず、私だけが自分の目に入ってきていないという状況があるのかもしれません。

八卦掌に健康増進効果があるのは当たり前です。なぜなら八卦掌を練習すると八卦掌を練習しない時と比べて体を動かすからです。では俗に言われる八卦掌の健身効果とは具体的には何なのか、今回はこれについて私の私見を交えながら解説します。

このブログでは、一般的な運動による健康増進効果、中国武術による健康増進効果、八卦掌による健康増進効果という3つの観点からそれぞれ見ていくことにいたしましょう。

一般的な運動による健康増進効果

瞑想瞑想

一般的な運動による健康増進効果には以下のようなものがあります。

心肺機能の増強

運動をすると運動をしない場合に比べて、呼吸筋が発達し、吸気と排気の機能がスムーズになります。また心臓の筋肉が発達するため、血液を体全体に送り出す機能が向上します。一回あたりに送り出せる血液の量が増えるため、平常時の心拍数が下がります。

血管が強くなる

運動をすると運動をしない場合に比べて血管が強靭になります。運動により心肺機能が強化され、送り出される血液の力が強くなるためそれに耐えうるよう血管にも変化が起こるためです。

筋力が向上する

定期的に運動をすると、運動をしない場合に比べて筋力が向上します。普通の生活をしている人が入院して寝たきりの人よりも全身の筋力があるのと同じように運動をすると、事務作業や家事だけをして運動をしない人に比べて全身の筋力が向上します。

骨密度が上昇し骨粗鬆症のリスクが下がる

運動は、日常生活以上の負荷を体にかけます。筋肉にも負荷がかかりますが、骨格にも相応の負荷がかかることになります。人間はその負荷に耐える骨格を維持するために、骨密度を上げます。その結果骨粗鬆症のリスクを下げます。

安静時の血圧を低下させる

運動すると、血流の改善が促され安静時の血圧を低下させる効果があります。高血圧の方は血圧を抑える薬と併用しながら適度な運動を行えば、高血圧改善の効果が高まります。

睡眠の質が改善する

適度な運動は睡眠の質を改善させる効果があります。ただし運動には同時に体と精神を覚醒させる効果もあるため運動は就寝直前に行うことは寝つきを悪くしてしまうので注意が必要です。就寝の数時間前までに運動を終了しておくことをお勧めします。

精神の健全性を保ち気分障害を改善する

運動には精神の健全性を保つ効果があります。抑うつ気分がある方、気分障害がある方には散歩や軽い運動は症状を改善する効果があります。

体脂肪の減少

運動をすると、運動をしない場合に比べて消費カロリーが多くなります。よって同じ量の熱量の食事をとっても体脂肪が減少します。また運動により筋肉量が増加すれば基礎代謝量が増加するため体脂肪が燃焼しやすい体質になります。

脳を活性化させる

適度な運動をすれば肉体が刺激を受けるだけでなく、脳細胞が活性化されます。脳が覚醒し仕事の能率向上、学習能力向上が期待できます。

バランス能力の向上

運動をすることで体のバランスを調整する能力が磨かれます。運動をする習慣がない人に比べて運動をする人のバランス感覚は優れています。

全身協調性の向上

運動をすると全身の骨格や筋肉を統合的に動かしたり、調整する能力が研ぎ澄まされます。これはつまり全身協調性の向上に言い換えることができます。

中国武術による健康増進効果

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ここまで運動による健康増進効果を解説してきました。中国武術教室の案内を見ていると、一般的な運動によるこれらの健康増進効果を、あたかも中国武術を練ることによってこそ得られる効果であると勘違いさせるような表現をしている案内もちらほら見かけることがあります。

上で解説した健康増進効果は、あくまでの有酸素運動やラジオ体操のような平易な、だれでもできる、ふつうの運動でも十分に得られる健康増進効果です。これらをあたかも中国武術特有の健康増進効果であるかのごとく説明するのは、非常に「紛らわしい」行為です。

中国武術の運動機能向上と健康増進効果

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では中国武術を練習することによってこそ得られる健康増進効果としてはどのようなことを表現するべきでしょうか。一般的な運動では言及されない中国武術による運動機能向上と健康増進効果には以下のようなものがあります。

深いリラックス効果

中国武術は動作や姿勢に「放鬆」や「自然」を要求します。これが力まない状態を常にキープすることを強要するきっかけになります。その結果、体の内部までリラックスした状態で動作することが習慣化するため、深いリラックス効果を得ることができます。

通常のジョギングや有酸素運動、体操では動作の要求は外面的な形式し終始することがほとんどのため、体の深部までのリラックス効果を要求することはほぼないといっていいです。ですが中国武術は、練習を始めた当初から、放鬆をつよく要求します。ここが一般的な運動と中国武術の差異です。

呼吸と動作の配合

一般的な運動でなかなか教えてもらえないこと、それは呼吸と動作の配合です。配合とは組み合わせるという意味の中国語です。呼吸と自律神経、運動にはそこそこのつながりがあることが分かっています。

動作を行う際、呼吸を合わせるか、呼吸と動作をばらばらにするか、呼吸を全く意識しないかで、動作の効果が変わることが証明されています。中国武術は気という概念的な考え方を借用し、動作と呼吸を配合することを基本の時点から強く求めます。呼吸を能動的に動かし、動作と融合させる方法論を学べることが中国武術の効果の一つと言えます。

全身協調性のさらなる向上

中国武術を練ると、一般的な運動ではなかなか得ることが難しい高度な全身協調性を得ることができます。全身協調性は器械体操などを代表として多かれ少なかれ要求されるものですが、中国武術では、ジョギングや水泳、アマチュアレベルでの球技と比較して高度な全身協調性が得られます。

負荷分散

中国武術は大きな筋肉や骨格に大きな負荷を、小さな筋肉や骨格、関節に比較的小さな負荷が分散して与えられることを特徴としています。

中国武術を練れば、体幹部や臀部、大腿部といった断面積の大きな筋肉に大きな負荷を与える習慣がつきます。これにより筋肉の一単位の断面積に対する負荷が均一化され、運動負荷が局部に集中しない動作の習慣が身に付きます。

デメリットは、局部に応力を集中して対処する運動方式にと比べて総運動量が増えるため消費カロリーが増えてしまうことです。

深層筋を意識した体幹操作能力の向上

中国武術の動作上の要求は体全身に高度な協調性を要求します。これは二の腕や力こぶで荷物を持ち上げたりといった体の一部の筋肉にアプローチする稚拙な力ではなく、体全体が持っているリソースを最高の効率で動かせることを目的としたものです。

これらの中国武術の要求を守る過程において、骨盤内部や、背骨の内側や肋骨の隙間などにある小さな筋肉たちや深層筋と言われる筋肉が刺激をうけ、それが体幹能力の向上につながります。

柔軟性の向上

中国武術の練習体系には、柔軟性を高めるためのカリキュラムがたくさん用意されています。一般のスポーツでは要求されないような高い関節可動域が動かせるようになる準備運動を行います。これにより高い柔軟性を得ることができます。

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八卦掌による健康増進効果や練習の効能

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これまで中国武術一般の健康増進効果や、身体能力向上に関する効果を開設しました。ここでは中国武術の中でも特に八卦掌を練ることによる健康増進効果や練習による効能には以下のようなものがあります。

攻防動作をしながら重心移動する能力の獲得

健康効果ではありませんが、八卦掌を練ることで得られる能力に、攻防動作をしながら足による移動を行う能力の獲得があります。

人間はバランスを失うことを非常に恐れます。バランスを失って転倒すると、腰や腕の骨折のリスクや、頭蓋骨を強打するリスクを伴うからです。ですから攻防を行う際には安定して着地ししっかりと地面を踏みしめようとする動作が無意識に起こります。

こうすることで重心は安定し転倒のリスクは少なくなりますが、同時に機動性を犠牲にしてしまいます。八卦掌では第一段階から移動を伴う練習を取り入れることで、移動によるバランスの逸失による恐怖感をなくし、さらに移動による重心の変位を能動的に攻防に利用しようとします。

攻防を行いながら移動ができるかできないかの優劣を例えでいうと、沿岸部の永久要塞と戦艦、陸上の永久要塞と戦車、架脚式野戦砲と自走榴弾砲くらいの差が付きます。

脳のマルチタスク化

これも健康増進効果というわけではありませんが八卦掌をねることで、「移動」と「攻防」を同時に行う習慣が身に付きます。

これは上半身と下半身に異なる指示を与え違う行動をさせる命令を同時発令するという行為です。このような練習を行うと、脳はだんだんとマルチタスクができるものに変化します。

例えばジャグリングをしながら一輪車に乗っているサーカスの人、これと同じようなことができる脳を開発できるということです。

上と矛盾するようですが、人間の脳はマルチタスクを行うことは実際にはできません。脳のマルチタスク化とは、いろいろな作業をあたかも並行処理しているかのように、ある一つの動作を自動化したり、高速で意識を入れ替えたりする疑似マルチタスクです。

これができるようになれば、多人数を相手にしたり、移動しながら照準を定めたり、打ったり受けたりしながら次の戦略を練ったりをすることができ、戦略の幅が広がります。

脳のごみパケットを取り去るストレス解消効果

八卦掌の転掌は「動禅」のように頭の中をすっきりする効果があります。つまり頭の中のごみパケットをクリーンアップしてくれる効果があることを示しています。

これはストレスの消去に直結しますので精神の健全性を維持するのに効果があります。ですからデスクワークでマルチタスクをこなしている方の脳のストレス解消に効果的です。

捻じりによる深層筋の開発

八卦掌は体を深い部分まで捻じります。例えば跨、腰、胸、首まで様々なところを捻転させて形を作り、それをただのポーズから水の中で自由に遊ぶ龍のように動けるところまで体を練ります。

この過程において、一般の運動、さらには一般的な中国武術においても開発することが難しい深層の筋肉を能動的に動かす能力を開発します。これによって体の総合力、統合力を高めることができます。

八卦掌の健康増進効果のまとめ

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今回は、一般の運動、一般の中国武術、八卦掌における健康増進効果、さらには身体能力向上における効果について解説しました。

みなさんも、武術教室の指導者が「中国武術は健康維持に効果が大きい」という言い回しをされたときには、どこが、どのように、どの程度、効果があり、それが一般の運動と比較してどの程度の差異があるのかを問いかけてみてください。

一般的な運動、有酸素運動にも健康維持効果は十分にあり、中国武術の指導者はそれを十分認識して、中国武術には健康維持に効果が大きいというキャッチフレーズを口から発しているはずです。

ですからもし問いかけをすれば、中国武術は、一般の運動と比較して、かくかくしかじかの比較において、どのように、どの程度、優れたところがあるという具体的で客観的な回答が即答で得られます。

中国武術や門派を練習する意味、意義を理解したほうが練習の効果、効用が高まることは間違いありませんので、何のために練習を行うか、練習を行った場合と行わない場合、どのような違いがでるのかということを考え、わからなければ問い合わせ、試行錯誤をすることをお勧めします。

私は残念ながら高等教育でスポーツ科学やスポーツ医学の専門的な教育を受けたわけではなく、中国武術や門派の健康増進効果についても一定数の無作為に選んだサンプルを用いて客観、公正、公平で科学的な方法にのっとり検証をしたわけではないですので、正確な検証結果、権威性については限界があります。ですが個人の考え方の一つとして参考にしていただけると嬉しいです。

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