まだ梅雨が明けない7月中旬ですが、本日は久しぶりに晴天に恵まれました。最高気温が高くなってきており、熱中症対策として、本日も豊川市にある御津生涯学習会館の会議室を予約頂き、こちらで練習を行いました。
本日の練習内容 2020年7月19日
本日の練習内容は以下の通りです。
放鬆功、拉筋
本日の練習もあいさつはそこそこに放鬆功と拉筋からスタートしました。当武術研究会では準備運動には号令をかけません。それぞれのペース、それぞれの深さ、それぞれの呼吸、体調に合わせて自分に最適なペースで準備運動を行っていただくためです。
また放鬆功や拉筋は世間話やおしゃべりをしながら行っています。気分を和ませると体が和み、力みが取れる手助けになるからです。自然な呼吸、自然な気持ちでゆっくり体の可動域を広げ、緩んでもらいます。
本日は下半身に激しい負荷を掛けたり、腿法をやる予定はなかったため、放鬆功や拉筋などの準備運動は30分程度としました。長いと思われる方もいるかもしれませんが、十分な時間をかけて体の深くまで緩め、刺激することは、当会における技術向上の核心部分です。
どのような準備運動を行うかを文章で説明するのは難しいので、以前私が夜の公園で録画した動画を参考としてアップします。
基礎十二式
本日は以前練習している甩手式、柔球式、七星起式、掩手式、穿掌式に加え、本日は探掌を新たにレパートリーに追加しました。
甩手式
腕を体の正面で上に振り上げるようにしながら振る動作です。
柔球式
体の正面で球体を弄ぶような動きをする動作です。
七星起式
跨(股関節)の霊活性(活動的に動ける様)を高める練習方法です。
掩手式
本日は掩手式の動作を借用し「夾」(挟み込む)と「合」(合う)というがいねんについて解説しました。
穿掌式
体の中心に沿って上を指先で突く動作です。攻撃性動作にも応用できますが、攻撃を擦りあげて受けにも使える動作にもなります。
本日は、基礎十二式の第六動作目の「探(タン)」を練習しました。探からは、初めに起式に站樁が入ります。
- 穿掌による受け
- 穿掌による顔面への攻撃(牽制)
- 腹部または胸部への掌打
という構成です。これを弓歩の体制で跨の切りを生かしながら行います。
基礎十二式で解説した事
本日、基礎十二式の練習を行う上で重視し解説したことは、「跨を動かすこと」と「開合」と「身法」です。
跨を動かすことで上半身は自然に動かされることになり、放鬆の中に自然に鋭い動きが生まれます。跨の切りは、下半身で地面を押したりすることに起こされますので、これが練拳即是練腿(拳を練ることはこれ即ち腿(脚)を練ることである)につながります。
また跨を挟(内側に入れること)は「開合」という概念で言う「合」というものにつながります。胸、跨、膝が「合」すれば左右からの力が中央に合わさり、強い力となります。
最後に身法ですが、これも中国武術の身体操作上で非常に重要な概念です。つまり胴体を柔らかく、霊活に使う、という概念であり、胴体を締めて動きを殺してしまわず、フレキシブルに有効利用し、肉体のリソースを最大限活用しようという考え方です。
身法がうまく体現できれば、下半身で起った力の波を損なうことなく手まで伝えることが出来たり、相手の打撃を反らし、威力を半減させたり、上半身そのものの波で打撃力を発生させたりすることができるようになります。
地支八卦
第一掌 相手の防御を開いて掌打を打ち込む招式です。
攻撃を擦り受けながら、斜め横に移動し、横腹に掌打を打ち込む招式です。
攻撃を上方に擦り受け、それを両手で下に強く落としてから、顔部に掌打を打ち出す招式です。
攻撃を前面に出した手で擦り受け、顔面を掌で牽制しつつ、胴体に掌打を打ち出す招式です。穿掌や掌打を行う際には、歩法も必ず同時に動きます。一つの招式は3つの動作が含まれます。体の同時作動については先日アップした以下の記事を参照ください。
まとめ
本日会場の豊川市御津生涯学習会館に行くと、会議室利用覧には「八卦掌練習会」という表記がかかっていました。せっかく準備頂いた本日のセミナーですが、コロナ再蔓延のため、参加いただけた方は1名のみとなりました。本日は黒板を利用して、練習方法の要訣を文字で解説しながら練習を進めました。中華文明は文字の文化であり、
「文章経国」(文章は、国を治めるための重大な事業であり、永久に朽ちることのない盛大な仕事である)
の通り、表意文字で物事を表現し理解する文化体系を持っています。中国武術の「理」と中華文明の心意気を正しく読み解き、理解することが中国武術上達の最低条件であり、これを心から楽しむために欠かせない要素だと感じます。
花垣武学研究会では今後、名古屋市熱田区の神宮前駅周辺でのセミナーの開催も予定しております。もし興味ある方がおられましたら、お問い合わせフォームから連絡いただければ幸いです。