本日は2022年月4月23日(土)です。前回の練習から少し間が空いてしまいましたが、本日も名古屋市熱田区の神宮東公園で八卦掌の練習を行いました。
2022年4月23日の練習内容
本日の練習内容を紹介します。本日の練習内容は以下の通りです。
放鬆功
本日の練習も放鬆功から始めました。首回りが緩むと低い姿勢でも上半身がこわばりにくくなります。本日は首回りのストレッチから行うことにしました。
筋肉や腱を緩ませたいときには呼吸をストレッチに配合すると効果的です。息を吐く際のリラックス感と体を弛緩させたときの自重の重みを使ってストレッチを行えば、筋肉を強引に延ばしすぎてしまうリスクを抑えながら比較的安全に体を緩ませることができます。
まずは気に寄りかかり、肩やわきばらを伸ばしつつ、首筋あたりを伸ばす意識をもってストレッチを行いました。
続いて上の動作を借用して背中側の筋肉をすこし深く伸ばしました。この動作は首のすとれ地になるだけでなく、肩甲骨や背中、肩回りのストレッチになるので上半身を柔らかく使いたいという方は真似してみてください。
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甩手
上半身のストレッチの後は、体の周りで腕を回す甩手を行いました。この動作を行うと胴体も幾分回りますが、首の方向、つまり顔とあごを一定の方向に向けてこの動作を行うと、結果的に首を回すことになります。首周りの可動域がさらに広がるようになります。
淌泥步
本日は淌泥步についてご質問をいただいたので、淌泥步をカリキュラムのメインに添えて練習を行いました。
基本の淌泥步です。歩行する軌跡は一本の線の上を歩きます。私が練習している八卦掌では両足の幅は肩幅には開けません。前足と後足が同じラインの上を通ります。安定感は肩幅に開いた足運びよりなくなります。ですがこの不安定感こそが機動性を生み出します。
歩幅を開かず両足が一直線上を歩行するということは、おのずと両足の膝がくっつくような状態になりますが、これは膝や股関節を能動的に閉じる「閉」という概念ではありません。「膝要抱」という概念を用います。つまり「閉じる」(ピタッと閉じる)や「絞める」(ぎゅっと締め付ける)という概念ではなく、柔らかくいだく感覚で膝を操作することが重要です。
淌泥步+雙撞掌の動作です。手の形以外は基本の淌泥步と同じです。
淌泥步+雙抱掌の動作です。肘と肘をくっつけ、掌をパーにして思いっきり開き、前に全力で押しながら前進する動作です。
淌泥步で円周上を回る立樁式という転掌の一形式です。
外歩(外側)の足は内側に扣し、裡步(内側)の足は円周上を淌泥步で直進します。扣歩をする外歩は地面を擦る必要はなく、ただ円周上を扣するだけでOKです。内側の歩で直進し、外側の歩で内側に向かって方向転換するということは、膝や跨が内にこすれるような加減の悪い動作になりますが、それが正しい動作です。
膝は開かず、閉じず、「抱」(Bao)という概念で動くようにしてください。
不安定の中に霊活あり、不安定の中で脳は進化する
武道やスポーツ、格闘技で「まずは安定して立つことが大事」という指導を受ける場合がありますが、私の見解ではこれは間違っています。安定して立つことは、霊活さを失うこととほぼ同じ意味になります。
人間は安定した四足歩行を捨て機敏に動き回れるが不安定な二足歩行という形態をあえて選択しました。二足歩行は四足歩行より不安定であるため常に脳でバランスを調整する必要があります。このため脳のバランサーは立っている状態や歩いている状態では常にスイッチが入っています。これが脳を刺激し、それが人間の脳の進化をもたらすことになった一つの理由であると私は考えます。
ただ安定することは簡単です。ただ不安定なままで進歩しないのも簡単です。でも不安定な中でも安定した状態をキープすることは可能です。最新の戦闘機を例に挙げます。最近設計された戦闘機はみな静的安定性を敢えて不安定な形状に設計しています。その不安定さは姿勢制御コンピューターが一秒間に何回も姿勢の調整を行うようにしてカバーし、安定性と機動性を両立させています。
北派中国武術、特に八卦掌の歩幅が狭いのは、人間も体の重心調整力、平衡感覚を練ることにより不安定性を克服しながら機動性を得ることを求めていることに由来します。
ですから八卦掌の立ち方はそもそもが不安定です。不安定だからこそ臨機応変、変幻自在、千変万化、変化無限の歩法と変化を生みます。不安定さを能動的に活用しようとする一種の方向性です。
重心を不安定に保つことについては以下のブログで紹介しています。興味のある方は参照ください。
本日の練習のまとめ
本日の練習は淌泥歩と転掌を中心にカリキュラムを組みました。不安定さの中に安定を求め、安定性と機敏さと両立させる、聞けば難しいかもしれませんが、私たちは二輪車という不安定な乗り物を見事に乗りこなし、安定して走行しながら体重移動により急カーブを曲がったりして移動の手段としています。一輪車なんかはもっとすごいです。
不安定と相対せず、不安定さを味方につけてそれを能動的に活用して変化を自分のものにしていきましょう。そして安定した立ち方ではなしえない機敏な動き、急旋回、急加速、姿勢の転換を実現してまいりましょう。