本日は2021年5月30日(日)です。本日は9:00~11:00の時間に名古屋市熱田区の神宮東公園で練習を行いました。
2021年5月30日の練習内容
本日の練習内容を紹介します。本日の練習内容は以下の通りです。
歩行
本日は午前中の練習ですので体を目覚めさせる意味合いで、公園の噴水を一周歩いて回りました。天気はだんだん暖かい陽気になってきていますので運動障害が起こる確率は下がる傾向にありますが、まずは体をほぐす意味合いで練習の初めには歩行を取り入れています。
放鬆功
歩行の次はいつも通り放鬆功を行いました。まずは下の動画のような甩手を何十回か行ってから、各部を緩ませるようにいろいろな動作を行いました。
本日は特にウエストを回して胯と腰の接合部の力みをとるところに時間を使いました。
基礎十二式
本日は放鬆功と各種基本功のあとは基礎十二式の練習を行いました。本日は基礎十二式の中から甩手式、柔球式、七星起式を練りました。
甩手式
基礎十二式の甩手式は上の動画のように、体の正中線の前を下から上に手を振り上げる動作です。足の裏で地面を蹴りあげる力で上半身を動かします。上半身が放鬆していれば力は掌までスムーズに伝わります。
柔球式
揉球式は体の前面に球体を作るようなイメージで腕を回転させる動作です。太極拳にも雲手という動作がありますが、それと比べてやや立体的な球をイメージしたものを体の前に作ります。大きさはストレッチボール程度のイメージです。
体の前にストレッチボールのような柔らかく且つ張力のあるイメージをつくりこれを弄びます。ポイントは弄ぶ手の角度が常に変化するようにすることです。水平運動や角ばった動作にならないように、常に角度と方向が変化し続けるようにします。
単純な防御動作として考えた場合、角度と方向に変化を付け続けると、相手は常にこれに翻弄されやすくなり、また粘(接触する)場合にも、あたかも吸い付いて離れないような軌道が可能となります。
動作の起点は同じく脚部です。脚部で地面を蹴りあげながら胯の球面的回転で力を増幅させて上半身を動かします。腕や手は形を維持するだけの力を保持しつつリラックスします。
「上下相隨」(上下がお互いに関連し合い連携しあう)ことをイメージしながら行うと動作に一体感が生まれます。
七星起式
左足を前にした半身になり、深い弓歩を作って右手を出しながら両手にタイムラグを作りながら引っ張ってくる動作です。後ろ足の踵を上げてもいいので前方のできるだけ遠い場所に右手を持ってきて引き込みます。右手は放り投げるようにしつつも最終的には何かを引っかけるようなイメージで動作させます。
続けて左手がそれを補助するように動き、両手で何かを挟み込むような動作となります。ここでも「上下相隨」が重要なポイントとなります。右腕が伸びきった時には下半身は既に次の動作を始めており、左手が挟み込みを完了した時には胯は次の動作に向けて先走って動いています。
動作の一つ一つが一致するようでバラバラに動き、そして全体としてはまとまっているというのが理想の形です。七星起式では振り付けを借用しながらこれらの意味合いを練ります。
地支八卦
本日は、基礎十二式のあと地支八卦から「開掌」と「捩掌」を練習しました。
開
本日地支八卦の復習した開掌について解説します。開掌の第一動作は重心を後ろに移し懐を深くして攻撃を避けつつ、その攻撃の手を押さえる(添えるイメージ)んですが、攻撃をぐっと落とすイメージで行うと相手が反応してしまうのでそっとタッチするようにします。
そこから防御を崩し(開く)て脇腹に掌打を打っていきます。ポイントは相手の重心を奪うほど深く歩を進める事、後ろ足で地面を強く蹴り進むことです。
更に大事なことは、上半身に無駄な力を入れないことです。力んでしまうとせっかく地面を蹴ってせりあがってくる力を澱めてしまいます。「上虚下実」のとおり、下半身で力を込めて緩んだ上半身の中をスムーズに力が通るようにしましょう。
そしてインパクトの直前に前足を地面に強力に突刺すことも忘れてはいけません。これをやらないと勁が流れてしまい、自分もバランスを失います。さらに引っ張り込まれます。地面に足を突刺し(本当はそんなことになりません、イメージです)、急ブレーキをかけることにより、リラックスした手が前に飛んでいきます。
そこで息(気)を適切なタイミングで吐きつつ、体全体をまとめれば、整勁ができあがり強い力が出来上がります。
捩
本日は前回カリキュラムに追加した地支八卦の捩(リー)を復習しました。まずは動作の概要は以下の通りです。
- 左足を大きく左斜前に進めつつ左手を大きく開く。右手も合わせて開く
- 左手→右手と巻き込むように動かしながら、右足を左足の前に進める
- 下にある両手を収めることなく両掌を前に打ち出す
本日のポイントは、歩を大きく進める事です。これにより相手の攻撃のラインから体(たい)をずらし、こちらの正面をもって相手の斜めを捉えます。
- 避正打斜(相手の正面を避け斜めを打つ)
- 以正駆斜(こちらの正面をもって斜めを打つ)
という概念を使います。
本日のまとめ
これまでは動作を分解し、姿勢→過渡式→姿勢→過渡式という風に解説をしていましたが、本日は中国武術の招式は明確な境界線を引かず、動作同士が連環して繋がってできあがるものであることを説明しました。
力を発している中にも蓄があり、蓄の中にも発があるという状態ができれば、溜めと攻撃がに連環性ができて有利に事情を処理できるようになります。まさに
陽(打)中に陰(蓄)あり、陰(蓄)中に陽(打)あり、
という陰陽調和という宇宙の理を体の中に作り出すことができます。中国武術を理解するためには中国文明を理解する必要があります。今後は「陰陽」や「五行」についても解説する場を設けたいと思います。
本日の名古屋は梅雨の合間の快晴でした。まだまだコロナは猛威を振るっていますが、本日も屋外で気持ちよく練習できました。