日々の練習

今日の練習 八卦掌 神宮東公園にて 2020年10月11日

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昨日まで日本列島に影響を及ぼしていた台風が去り、本日は強い日差しが戻ってきました。

八卦掌の練習
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今日も10:00~12:00まで神宮東公園にて八卦掌の練習を行いました。

2020年10月11日の練習内容

秋の銀杏秋の銀杏

本日の練習内容は以下の通りです。

放鬆功

本日は午前中の練習となりましたのでまずはウォーミングアップを入念に行いました。

先ずは肩や背中のストレッチです。先日動画にアップした通り、上半身全体を伸ばして緩める肩のストレッチを行いました。

この準備運動は肩関節の柔軟性を高めるだけでなく、脇腹、脇、肋骨回り、首、背中を伸ばし、全体的な可動域を高めるために行います。一か所の可動部、例えば動作の目的を「肩の柔軟性を高めるため」と定義してしまうと人間はそれを中心に物事を考えてしまいます。

ですから動作の説明は「肩を中心に体全体を緩め伸ばす」という表現にしています。抽象的な表現となってしまい申し訳ないですが、この表現が最も適切なものです。

次に「甩手(シュワイショウ)」で腕全体を振り、筋や腱に自然に緩んでもらいます。何度も腕を振っているうち、だんだんと自然に腕が長くなってくるのがわかると思います。

「甩」という漢字には、「振る」という意味合いがありますので、何かを振り回す動作には甩手という名前がつきます。ですからこの世には様々な形の甩手が存在します。そしてそれらは全て甩手です。

基礎十二式

本日も準備体操の次は基礎十二式で体を作りました。

  1. 甩手式
  2. 柔球式
  3. 七星起式
  4. 掩手式
  5. 穿掌式
  6. 探掌式
  7. 擺扣歩穿掌
  8. 擺尾掌
  9. 蹋歩穿掌(本日新しく追加)

本日は基礎十二式から9種類の動作を練習しました。

甩手式

柔球式

手先が動いているように見えるかもしれませんが、足が地面を蹴り出す力と跨が∞(無限大)マークのように動くことで上半身が動かされています。

  • 腳先動(足が先に動く)
  • 意動氣動 氣動身從(意が動き気が動く、気が動き体はそれに従う)

の原則に則り体は動きます。

七星起式

手のイメージとしては、相手の腕を挟み込む、締め付けるのではなく、「抱」(抱く)イメージを持ちます。

これにより動作にカクカクした角がついてしまうことや、締め付け、収縮させるイメージを排除し、丸みと張力を維持した状態での運動であることを紐づけやすくします。

動作の出発点はもちろん手や腕ではなく、下半身や下腹部です。

掩手式

足、脚、膝、腿を捻転させることにより発生する粘り強い力、トルクのようなものを跨に伝え、そこでも力を増幅させて、臂、肘、腕に力を伝えて言う練習です。コツは下盤の力を減衰させずに増幅させながら上半身に伝えることです。

穿掌式

 

探掌式

 

擺扣穿掌

基本的には擺步と扣歩と穿掌の練習です。ここで行う練習は擺步扣步の基本形と言えるものですが、擺步と扣步をうまく使うと刷り込み、ずれ込みにも活用できます。

大きな円弧を描いてしまうと相手はそれに応じて角度を変化させて反応してしまいますが、鋭い円弧を描きながら工夫すると相手の反対方向に回り込みをかけることもできます。

擺尾掌

体を大きく前傾し、低い姿勢を作ることにより股関節の強化や、大腿部の強化に役立ちます。これを行うことにより強靭な下盤を作り、内腿に粘りある強いコシを養成します。

蹋歩穿掌

本日は、前回まで練習した8種の基礎十二式に加えて、基礎十二式の第9動作目である蹋歩穿掌を追加しました。これは長拳でいうところの仆步穿掌によく似た動作です。

  1. 左手は自分の脇に沿ってつま先まで誘導する
  2. 右手は左手が進むのに合わせて真逆の方向(右上)に進める
  3. 重心を右足に残したまま左足を左に進め仆步となる
  4. 右手が横隔膜に沿って左に向かって穿していく
  5. 左手は右ひじに置き体を守る
  6. その逆を練習する

となります。上の①~⑤をぶつ切りにして行わず、「勁不断」つまり、勁が途切れないように連続して行います。腕、肩や体は龍や蛇のように滑らかに隙間に滑り込むように動いてください。

またこれも擺尾掌と同じく下盤の跨の霊活性(柔軟性、機敏な動き、滑らかな動き)を高める重要な練習です。特に程派八卦掌は仆歩の姿勢が多く出てくるため、これをよく練習してください。

仆腿式という姿勢(静止状態の外観)を作ることも大事ですが、重要なのは、動作の過渡式(途中経過)です。仆歩に移る重心移動、仆歩から弓歩に移行する際の跨の開き、膝や腿、脚部の捻転動作等要訣はたくさんあります。これらを丁寧に練習すれば、跨が開き、体が開き、頭が開き、体全体が一つにまとまり、八卦掌だけでなく北派中国武術全体としてのレベルアップにつながります。

反背掌の説明

先日YouTubeにアップした「反背掌」という動作の解説も行いました。これは八卦掌の呉国正老師から学んだ動作ではありません。どうやら同様の動作が通背拳にあるようです。

動作の起点について問い合わせがありいろいろ考えてみましたが、どうやらこの動作の起点は足です。前進する力が起点になっており、それが跨や下腹部、胸と背中、肩、臂、腕、を通じて加速増幅され、速度とインパクトが最大となったところで何かに当るようにタイミングを調整します。

何かを叩いたりするのは下品で野蛮なので説明は割愛しますが、体ごと持っていくぐらい、または目から火が出るくらいの勢いで「バッチーン」とやるのが理想です。

本日のまとめ

中国の庭園中国の庭園

本日は、基礎十二式の第9動作目である蹋歩穿掌を追加しました。動作解説に時間をかけたため、転掌の練習はお預けとなってしまいましたが、いろいろお話をしながら練習を進めました。話題は「小周天」「大周天」にも上りました。

練習中のさりげない会話の中には、上達のヒント、気づき、シナジーが含まれます。無言で練習に集中するのもいいかもしれませんが、それは自分の練習でもできることで、集まって練習する時にはこみゅうにけーションの中で自分で気が付かないところのきっかけを探すrことも重要です。

また、当会の練習では、「動作の完全な習得」は求めません。我々サラリーマンが練習に当てられる時間は多くはありません。その中で一つの動作が完全にマスターできないと次の動作に移れないという教授法では、80歳になっても一式のシステムを学べない方ができてしまいます。

また、一つの動作が完璧にこなせない状態でも、68点程度できたところで次の動作に進んでいけば、将来またもとの動作に振り返った時には、完成度が高まることがあります。中華武術のカリキュラムは、3歩進んで2歩下がっても、少しづつ手間をかけて練習(功夫)を積み重ねれば、その高みに近づけるようにデザインされています。

今日は新しい教材は一つしか紹介できませんでしたが、その中に新たな発見、気づき、知見が見つかれば、それがモチベーションとなっていくかもしれません。

体の変化、体が緩んでいくさまを楽しんで練習してまいりましょう。

今日の練習20201018
今日の練習 八卦掌 御津生涯学習会館にて 2020年10月18日金木犀の香りがいろいろな所から立ち上る私が一番好きな季節の到来です。皆様いかがお過ごしでしょうか。土曜日から急に空気が冷たくなり、本格的...
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