本日は2021年月12月19日(日)です。本日も愛知県豊川市御津の御津生涯学習センターで練習を行いました。
2021年12月19日の練習内容
本日の練習内容を紹介します。本日の練習内容は以下の通りです。
放鬆功
本日は通例通り、上半身の上のほうの放鬆功から練習を始めました。私の練習の順序としては放鬆功は上から下に向かって行います。これは上虚下実を実践するためにはまず体の上から緩める必要があると考えるからです。
中国武術の動作は体を緩めた状態(鬆した状態)で練習によって練られた大きな可動域を身体を活用して動作を行います。まずは首の力みを取り、可動域を広げるためのストレッチを行いました。
要領は、まず自分の力で最大の可動域まで首をねじり、そこで何秒か静止します。その後一度リラックスした後再度最大域まで首をねじるというものです。これを何度か行えば可動域が無理なく広がります。動的ストレッチで発生する筋肉の防衛反応を軽減しつつ効果的に可動域を広げるストレッチ方法です。
甩手
次はシュワイショウで腕を回し、上半身や肩、ウェスト全体を緩めていきました。動作は負荷が少ないものから少しづつ負荷を高めながら行います。
搖肩法
甩手を行った後は叉肩法を行いました。叉肩法とはいわゆる腕回しです。下半身と跨周り、腰、背中を使って行う腕回しです。「跨を切る」形で骨盤と股関節を水平に動かし、その動きを肩に伝えて肩を回します。腕は円錐状になるのではなく、体の真後ろから真正面まで面の動きになるように回します。
劈山
本日は叉肩法を練習した後、その続きとして五行通背拳の法根門(用法を伴う練習)の一つである劈山(ピーシャン)を練習しました。
劈山は腕を振り上げ、手刀を力強く打ち下ろす動作です。前腕の内側をパイしながら、最終的には大腿部を打ち動作を止めます。跨を切りることを動作の発動スイッチにすることは上の叉肩法と同じですが、劈山では背骨を波打たせるように使います。これはチーターが疾走するとき、クジラやイルカ類の水棲哺乳類が泳ぐ際に使う胴体の動きと同じです。
これらすべてを合成し、高い精度でまとめることによりインパクトの瞬間に力を収束します。打点はできるだけ遠くを狙います。腕の力を抜き鞭のようなしなりを伴いながら手刀を放ちます。狙う場所は相手の鎖骨です。手刀を手のひらに変化させれば拍掌のようになります。拍掌で打つ場合のターゲットは顔面です。
下半身のストレッチ
股関節の可動域を高めるためにここで下半身のストレッチを挟みました。腰と股関節のぐるぐる運動のほかに屈伸と仆歩の形を作りました。
転掌
本日は転掌の練習も行いました。
立樁式
転掌の基本形です。内側の手を上に立て、外側の手首も立てて肘の横に着けながら円周上を回ります。
両掌を横に向け、胸の前に置いた状態で掌と胸を円心に向けながら転掌をおこないます。骨盤は半身にしたままウエストを回して胸を円心に向けることがポイントです。
両手をくっつけて指を開き、肘と肘をくっつけた状態で掌を円心に向けながら転掌を行う動作です。
基礎十二式 擺扣穿掌
本日は基礎十二式の擺扣穿掌の扣歩について解説しました。扣歩は方向転換を容易にするための歩形ですが、実用的な意味合いとしては足を引っかける意味があります。本日はこれについて解説し、有効な足の引っ掛け方を解説しました。
足を上手に引っ掛けるポイントは体全体を高度に協調させることによる高い精度での動作の集中です。足を引っかけ相手に触れるタイミングへ力を集中させます。武術の駆け引きに慣れていない人はこれだけでも転倒します。
より楽に、効率的に、効果的に足を引っかけて転倒させたい場合は、上半身の両手をも合わせて使えば効果的です。相手の手をつかみ引っ張る、胴体を打つ、足を引っかける、の3つの動作を同時にかつ集中力を伴った力で行えばそこそこの相手は転倒します。
開掌
本日は地支八卦の第一掌の開掌を練習しました。開掌は
- 按掌(手を押さえる、添える)
- 上步外開(前進しながら手を外側に開(Kai)する)
- 奏步雙撞(足を近づけながら両手で打ち、衝撃を与える)
という順序で行う動作です。③の動作では後ろ脚で地球を蹴る力を掌まで伝えることが大事です。また②と③の間では手は手元引いてはいけないこともポイントの一つです。腕の力を極力使わず、動作の力の源は下半身と上半身の胴体によるもの(内力や內勁と形容します)で打つ習慣をつけるようにします。
本日のまとめ
本日は午後1時から午後3時ごろまで練習し、適宜質疑応答などを加えながら練習しました。本日は動作の「用」の部分についてポイントの解説を行いました。
中国武術を練習する際には時として「用」を意識する方が要旨をつかみやすい場合があります。中国武術が「用」だけに特化したものではないことに注意する必要はありますが、参考とすることで練習が有意義になります。
12月も下旬に入り、本格的に冬の気候となりました。2021年の練習は本日までとなります。温度が急激に下がっております。皆様風邪をひかないようにお過ごしください。