日々の練習

今日の練習 八卦掌 御津生涯学習会館にて 2020年10月25日

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本日は冬の香りが漂う強い風が吹く一日でした。本日も先週と同じく午後1時から愛知県豊川市の御津生涯学習会館会議室にて八卦掌の練習を行いました。

今日の練習20201018
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2020年10月25日の練習内容

御津生涯学習会館会議室御津生涯学習会館会議室

本日の練習内容は以下の通りです。

放鬆功

本日はまず上半身の放鬆功、つまりストレッチから練習を始めました。首を回すところから始め、首、肩、臂、腕、手、指まで穴道(ツボ)を圧迫したり揉んだりして緩めていきます。穴道と穴道の繋がる道が経脈(縦の筋)です。この経脈を揉み解しながら、意識の通りをよくする準備運動を行いました。

古代の中国人は、このツボとツボが連なる線的部分を、体の伝令や伝達物質、パワーが通る道と認識していました。現実的に体の筋や神経は脳や運動神経から指先まで連結しており、ここに何かしらの伝令が通ることにより体が動いたり、刺激が脳に伝わったりということがあるかとおもいます。

現代では、医学と解剖学、スポーツ科学の発達によりこれらは人体の神秘ではなく、科学となっていますが古代(近代以前)の中国人はこのような事実を概念的に認識して生活の一部に取り入れていたことがわかります。

私は中医学の専門家ではなく、経絡、経穴についての知識は一般中国人程度の物しかありませんので気功、中医学、経絡の知識を専門的に学びたい方はそちらのサイトを参照頂ければと思います。

まずは上記の動画のようなマッサージを行い体をほぐしました。

次に上の動画の甩手(シュワイショウ)を教材として借用し、肩、臂、腕を中心とした部分を揺する練習を行いました。これにより手のひらが充実し温まりを感じたならば、気血が指先まで廻ったということになります。

他にも屈伸運動、仆步などを作りながら、股関節、鼠蹊部等のストレッチを行いました。

基礎十二式

一通り上半身のストレッチを行ったところで、基礎十二式の練習を行いました。

  1. 甩手式
  2. 柔球式
  3. 七星起式
  4. 掩手式
  5. 穿掌式
  6. 探掌式

本日は基礎十二式から6種類の動作を練習しました。

甩手式

甩手を行う時は、虛靈頂勁(首筋を伸ばす)ことを意識しながら、体の正中線の前方で手を下から上に払い上げる動作を行います。

柔球式

揉球式の復習を行いました。本日私が指摘させて頂いた事項は、しっかりと「球(Qiu)」を作ることです。揉球式は体の前で左右の手をぐるぐる回すという動作です。この手の動作は立てた円の動作を描く立円動作ではなく、三次元の球体をつくる立体的な動作となります。

立体的な動きをすることで、防御構造に厚みを持たせることができ、単層の防御面では突破されてしまっていた攻撃をキャッチする機会を高めることができます。文字で表現していますので多少大げさな表現となっていますが、二次元の防御と三次元の防御の性能の違いについて想像して頂ければとおもいます。

七星起式

胯が水平に∞を描きながら、跨と胸と腕の開合を意識して練って頂きました。すべては下盤で起こった動きが上盤を導くように動きていく様を練習して頂きました。

掩手式

掩手の手は水平に動くのではなく、捻る動作が起こり続け、角度が変わり続けることを意識しながら練習します。ここにも意念と呼吸と体全体の調和と協調が起こります。

穿掌式

鳩尾あたりから上に向かって捻りを加えながら掌が穿する様です。防御動作としては接触しながら腕の摩擦で相手の攻撃を上に跳ね上げる、攻撃動作としては角度を前方に向き換えれば顔面を穿(突き貫く)する動作にも変化できます。

探掌式

体を左に躱しながら、右手を前方にだし、牛の舌が牧草を絡め取るように手首を使いながら後ろに収めます。同時に左手が相手の目や鼻を狙い穿し、その下から掌打が発動されるというのが動作の流れです。

動作はすべて胯を切ることで発動します。また急激な重心移動と胯を切った際に安定感が損なわれないようにするために、五指抓地(足の五本の指でしっかり地面を掴む)ことも必須です。

私の参考動作は背面から見たものですので、呉国正老師の動作も添付します。参考にしてみてください。

その他の解説内容

本日は基礎十二式以外にも以下の練習と技術と理論の解説を行いました。解説は時間外にも伸びてしまいましたので、代表的で重要な物のみ抜粋し紹介します。

棍法

以前にも説明していますが、中国武術の身体操作法はもともと武器術の操作法が由来となります。本日は白蠟杆を借用し、徒手の防御動作が体ではなく得物を持った際にも有効に機能することを実演し解説しました。

中国武術では防御動作は、ガンと受けるのではなく摩擦を伴う捻転動作を使い、攻撃を絡め取ったり弾き飛ばしたり、掴まずに貼り付く、という方法を行います。この防御方法は手だけでなく棍や槍でも同様です。

武器で突いてきたもの、打ちかかってきたものを力任せに受けて「受ける」のではなく、手の中で起こる捻転とひねりを棍の先まで同じように使えることが必要です。

また棍や槍で行う打撃における身体操作は徒手の發勁動作と同じです。中国北方人は武器で徒手を練り、徒手で武器を練ります。現代ではこれらの兵器をそのまま使う機会にはそうそう巡り合うことはありませんが、武器術を練ることは中国伝統武術の核心を理解するためには必須の項目です。基礎が出来れば並行して兵器に触れ合うことを強く推奨します。

また本日紹介した武器術の双方は、体躯に恵まれず筋骨からくる力を存分に発揮できない北方漢人でも、体の操作法と技術の研鑚により体格をカバーしようとした先人の知恵です。

攻撃はそれ即ち防御であり、防御はそれ即ち攻撃である。攻法即顧法

「これは攻撃ですか?それとも防御ですか?」という質問を受けることがあります。中国武術では攻撃と防御の境界線は極めてあいまいです。なぜならすべての動作が攻撃性動作と防御性動作を兼ね備えているからです(例外はあります)。

受ける動作というものは、相手方の攻撃部位を攻撃している場合が多く、この面においては攻撃性動作となります。また攻撃性動作を体の中心部から出すことは、そこに到来する攻撃を迎撃するという意味合いもあります。よって攻撃と防御は不可分の関係にあります。

本日のまとめ

御津生涯学習会館会御津生涯学習会館会

先週の日曜日から続いて、本日も愛知県豊川市の御津生涯学習会館でのレッスンとなりました。強い風が会議室まで入ってくるため十分な換気が行えていると判断し、用法などを解説する機会を多めに設定しました。

次は11月の練習となります。本日もたくさんの技術内容やその背景を紹介、解説できました。武技というものは中国伝統文化の中では決して高尚なものではなく、「良い鉄は釘に名ならず、まともな人間は兵隊にはならない」と言われる程度の物ですが、武技を通じて中国伝統文化や中国の習慣、歴史に興味を持って頂けるのはとてもうれしいことです。

今日の練習20201031
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