本日は冷たい風の一日でしたが今日は朝から快晴でした。本日は17:00~神宮東公園で練習を行いました。公園の落葉樹が紅葉してきてすっかり秋らしくなってきました。
本日の練習内容を説明します。
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2020年10月31日の練習内容
本日の練習内容は以下の通りです。
放鬆功
本日の練習は夕刻でしたので準備運動は少なめです。一日体を動かして体が適度にアップされているからです。
中国武術を練るのは人間です。人間には体調があります。午前、午後、天気のいい日、悪い日、気分が高ぶる日、乗らない日、いろいろな状況があります。中国武術は準備運動を集団で行わず、練習生それぞれのやり方に任せます。調子が良い日は少ない準備運動でエンジンをかけても大丈夫です。その時々に合わせて準備運動や運動強度は適切に調整しましょう。
基礎十二式
本日も放鬆功と準備体操の次は基礎十二式で体を作りました。本日は基礎十二式から9種類の動作を練習しております。新しい動作は追加せず復習だけとなりました。
甩手式
柔球式
揉球式の手は円ではなく球面をイメージして動かします。体の前方でイメージする柔らかくかつ張力のある球体は腕の中ではなく、腕自体をも球体に取り込み、腕の外側が球体に取り込まれるような形にすればより大きく強い意識の弾幕が構成できることを発見しました。
揉球式は腕だけでなく、胴体をも球面の中に取り入れている可能性があります。これをイメージすれば、お腹や胸まで柔らかく丸い状態をキープできます。
七星起式
揉球式で培った自分の球体(3次元の圏、つまり自分のエリア)の意識を七星式にもフィードバックしてみました。これを取り入れれば、腕や上半身全体が包み込むような丸い動作になり、連環動作も円滑に行われることがわかりました。
掩手式
掩手でも自分のエリア(圏)を意識することは非常に重要です。柔らかく丸い球面のようなイメージを持つことにより動作が扁平になってしまったり、厚みがなくなることを防いでくれます。
穿掌式
掌は心窩口(鳩尾)やのど元から上に向かって打ち出されます。打ちきったところで脇腹や肩、腕全体に自然に発生する反発と収縮を使って手を鋭角に戻します。これを反復します。穿掌式では掌を上方に打ち上げていますが前方に打ち出せば攻撃動作に変化します。
探掌式
穿掌で小指側の勁道を意識しながら適度な捻りを伴って受けを行います。ただしこの受けは相手の中門を奪う様意識を持って行います。そうすれば自分の中心をカバーでき、相手の攻撃を逸らすことができ、同時に相手の中心に攻撃を行えます。
顧法即攻法(防御即ち攻撃)です。受けは接触時間と接触面積をできるだけ多くとりながら面で受けます。中国武術では、一点を剛力で受けることはあまり高級技法とされません。面或いは立体的な動作で受けつつ重心の安定を破壊することが高等技術とみなされています。
体をかわしつつ斜めから相手の中門(相手の中心)を奪うことができれば理想的です。
擺扣穿掌
まず外領という動作で相手の手を掴みながら、足を軽く上げることにより背骨がC型が形作られ、尾骶骨が自然に内に入り、股関節と鼠蹊部が緩みます。このようにすると擺步がやりやすくなります。練習は外見の模倣から始まりますが、動きのコツを認識しながら練習すればより効率的に動作を習得できます。
上半身の穿掌は後手が引く力も借りながら背中から出ていきます。適度な捻りの動作を伴いながら指先の延長線上まで突き抜けるようなイメージで行うと勁が体の中を通り抜ける感覚が意識しやすいと思います。
擺尾掌
体を大きく伸ばして手を前に出すことにより体全体を伸長することができます。両手の動きを協調させることにより体全体の動作をまとめることもできます。足腰で発生する力が背中を伝って指先まで、更に指先の向こう側まで通り抜けることをイメージして練習します。
蹋歩穿掌
体の開合を大きな動きを使って練習します。両手を広げている時が「開 Kai」です。そして両手が合わさり一方に向かう時は足、膝、胯、胸、肩、肘、掌、意までが「合 He」になります。呼吸と配合させれば効果的に体を開くことができます。
この動作は股関節とハムストリングスに掛かる負荷が大きいため練習前には十分なストレッチをしてから練習をしてください。高い姿勢で行っても練習の効果はそれほど損なわれないので各自体力に合わせて姿勢の高さを調整してください。
中国武術、特に内家拳では、外形ありきではなく内含する意識の使い方ありきで運動が起こります。
基礎十二式は伝統的なものではなく、呉国正老師が考案した基本功です。本日の練習で動作内容を指導する側の私が、この動作群の奥の深さを再認識しました。将来は人が考案したしたものをなぞる側ではなく、私もこのような意味深いものを作曲構成する側に回りたいと思いました。
本日のまとめ
本日は、基礎十二式をさらに精製する形で練習を進めました。練習のなかで発見すること、体の動きの進歩、変化、これらを味わい楽しみと感じてもらえたことを、とてもうれしいと感じました。また私自身も大きな収穫を得た2時間でした。
中国武術の動きを練ることは、体の可動域の拡大、バランス機能の向上、全身協調性の向上、筋力が増強、心肺機能の向上等の一般的でフィジカルな効果があります。
また体を動かしたり、筋肉がストレッチされることにより気分を健全に保つ効果があります。これにより日頃の仕事による精神疲労、フラストレーション、ストレスなどが軽減できれば、人と人の中で起こるつまらない衝突、軋轢がなくなり、人間関係の調和と協調という効果も得ることができると確信しました。
武技という、一見すると衝突と干渉を力で排除するための術を、私は調和と協調に利するために転用するための可能性を模索していくことにしました。本日は中国武術の価値の多様性を認識できた一日でした。これらを踏まえこれからもより深く武術を考え、知見の整理を続けたいと思います。