2020年8月31日、8月も最後の一日となりました。蝉の主役がいつの間にか、クマゼミからツクツクボウシに代わり、赤とんぼが飛んでいます。本日は、夕刻の時間を利用し、神宮東公園にて練習を行いました。
目次
2020年8月31日の練習内容
本日の練習内容は以下の通りです。
準備運動
先ずは準備運動から練習を始めました。本日は基礎十二式を準備運動の代用ともしましたので、ウォーミングアップはごく簡単に済ませました。
準備運動やウォーミングアップをどの程度行うかは、その日の練習の負荷、内容、温度、と練習生の練度、練習時間により調整してください。特に午前中は人間の体はまだ起きたばかりで十分に覚醒していませんのでじっくりと体を緩める運動をしていただくのが良いと思います。夕刻や夜間の練習では、ウォーミングアップの時間を多少短縮させても問題ないかと思います。
基礎十二式
本日も準備運動の次は、基礎十二式を教材とし、体を練りました。
- 甩手式
- 柔球式
- 七星起式
- 掩手式
- 穿掌式
- 探掌
- 擺扣歩穿掌
本日も、基礎十二式から上記の7種を抽出し練習を行いました。
甩手式
柔球式
七星起式
掩手式
穿掌式
探掌式
擺扣穿掌
基礎十二式で意識して頂いた事
基礎十二式では、本日も「沈」(体を緩めて重心を落とす)と「五指抓地」(足の指で地面を掴む)などを練習しました。また「擰」(Ning)(捻転)という概念について解説しました。
基礎十二式に限らず、下肢、跨、腰、等の身体すべてには、単なる伸縮動作ではない捻転動作を伴うことが望ましい(むしろ伴わなければならない)という内容を解説し、実演と説明を行いました。
そして、上半身の動作は、常に、跨や下半身から発せられたものが波となって伝わった結果引きこされるものでなければならないことを説明しました。
よって、基礎十二式でもまずは、足腰で動作が開始されるようにします。それをうまく上半身に伝達するには、跨を緩めること、沈めること、つまり「落跨」或いは「鬆跨」ができるかが重要となってきます。
これができれば、上半身は適度な張力を残しつつ自然に弛緩し、理想的な状態が造られていきます。そして下半身と上半身が繫がり、下肢の力で上半身と接続した相手を操作できるようになります。
甩手式、柔球式、七星起式、掩手式、穿掌式、探掌、擺扣歩穿掌を練習しましたが、「鬆跨」という概念が一貫していることを確認できた練習となりました。
淌泥步
基本の活歩樁法
淌泥歩+双撞掌
淌泥歩+双抱掌
転掌
新型コロナウイルスがまだ収束しない状況下での練習です。本日も、用法説明を伴う地支八卦の練習を避け、転掌の練習を行いました。
8月16日に円周上を回る転掌を練習しました。本日もまずは前回の復習として以下の要訣を中心に練習ました。
- 外掌要蹬(外掌は支える)
- 肘對心而抱(外掌の肘はみぞおちあたりに置く)
- 裏肩要沉(内側の肩を沈める)
- 掌要翻,指要領(掌を張る、指は伸ばす)
- 眼視手背外(目は掌の外側から円心を見る)
- 肘對心,指對肘下(肘は心臓の近く、外掌の指は裡手の肘の下へ)
- 外步裡扣,裡步直邁(外歩は内に扣し、內歩は直進する)
本日追加で説明した内容は「膝要抱」(膝を抱く)です。意味は「膝を開かない」というものですが、八卦掌では「閉じる」「締める」という表現を使いません。これは
- 「閉」(閉じる、塞ぐ)
- 「締」(きつく締めつける)
が中国武術が目指す理想とそぐわないからです。「抱」(Bao)は日本語と同じ、「いだく」「だく」という意味です。つまり、締め付けずに、柔らかく抱くイメージを連想させるための「抱」です。これにより、外に張るのではなく、力が内面に向かうものの、固着させてしまわない状態を想像することができるわけです。
また、当会が練習している揉身連環八卦掌の転掌や換掌は、腰(Yao)を擰轉させることにより勢を作ります。(形とは形状という静止した状態のこと言いますので今回は使用を避けます)こしではなく腰(Yao)を水平に単純に簡単に回すのではなく捻転させることにより粘りとコシのある体を練ります。(鍛えません、練ります)。
中国武術も他の藝術と同じく、その地域の人間の行動様式、思考方法、言語、習慣、風習、気候、宗教を強く受けます。中国語は音で考える言葉ではなく、表意文字を根底に考える言語です。一つ一つの招式や要訣にはよく考えられた意味合いが内包されています。
「中国武術も拳打や蹴撃を主とする打撃系武道だ」とみなし、体を締めて突き、蹴りをやっていれば良いと考えるのは早計です。
単換掌
本日は、基本の転掌の他に、単換掌を練習しました。単換掌は「換掌之母」と言われるように、すべての換掌の基礎となる方向転換動作です。
- 外步裡扣
- 裡步外擺
- 上步虎坐
- 擰腰藏花
健康運動として八卦掌を練習するだけですと、低架で練習をする必要は必ずしもありません。ですが技撃に耐えられる体を作るためには、低架で姿勢と過渡式と動作を練ることは必須です。
本日のまとめ
本日は、夕刻に神宮東公園で練習を行いました。多少薄暗いですが、公園にも照明があり、雨が降っていなければ練習できる環境であることを確認できました。
また神宮東公園は、名鉄神宮前駅、JR熱田駅から徒歩5分程度の立地にあり交通の便が良いので、名古屋市内の方でしたら平日でも練習に参加いただけることが確認できております。
彼岸までもう少し暑い日が続きますが、体調と相談しながら心地よい汗を流し、中国武術の面白さに触れて頂ければと思います。