2020年の最終練習日は2020年12月27日でした。
本日は2021年初めての練習となりました。本日の練習時間は15:00~17:00です。朝からは曇一時雨という天気で天侯が心配されましたが午後3時頃からはすっきりとした青空が広がりました。
2021年1月16日の練習内容
本日の練習内容を紹介します。本日の練習内容は以下の通りです。
放鬆功
甩手
本日は午後の練習となったため放鬆功は上の腕を振り回す者のみとしました。両腕を腕の自重を使って振る動作です。自分の腕の自重だけで行う運動ですので比較的筋肉を傷めにくい運動です。振っているうちに筋肉や腱が伸びてきてだんだんとリラックスし、上半身がこわばりが除かれていきます。
基礎十二式
本日の練習は基礎十二式の練習を中心に行いました。これまで練習した9種の動作に加え、本日は10個目の動作である盤肘を追加しました。
甩手式
先ずは一つ目の動作の甩手式から練習しました。甩手(シュワイショウ)とは腕を振る動作全般を指す一般的な単語であり、手を振る、という意味の言葉です。基礎十二式では、手を体の前を下から上に通過させる際には正中線の真正面を上げることを意識して練習します。腕を動かすパワーの源は下半身であることを意識して練習することが重要です。
柔球式
こちらも甩手と同様に、足、脚、腿、胯を使って手全体を動かしていきます。「上虚下実」という要訣を守りながら全体の勁がうまくコラボできれば上半身はあたかも勝手に動いているような錯覚に陥るほどです。振り付けを覚えたら今までより少しだけ胯を落として低めにやってみてください。
七星起式
七星起式では左右非対称の動作で胯の意識をさらに体全体に行きわたらせる練習をします。掌は相手の腕を引っかけ引っ張るようなイメージを持ちながら動かします。上腕で引っ張るイメージは絶対に行わず、胯とお尻をずっしり下げて全体で動くように意識すれば動作はすっきりとまとまります。
掩手式
本日は掩手式の動作をモデルにいくつか実用的な方法も解説しました。本日の解説内容の一つは、中国武術の動作は相手との距離により最適なものが選べます。遠ければ掌打、中距離では前腕を使った振り打ちを選択できます。また打と拿(極め技)、足技、投げにシームレスに変化することも中国武術の技撃の特徴です。
また掩手式では動作中の「開合」という概念も学ぶことができます。
- 足、膝、胯という梢節、中節、根節の配合
- 手、肘、胸という梢節、中節、根節の配合
これらができると外形的な六合が形成されます。この場合には、
- 精(前向きな力)、気(呼吸)、神(精神、意念)も合わさると効果がさらに高まります。これらは精、気、神は合わせて内三合という概念でもあります。
穿掌式
穿掌においても下盤を意識することによりスムーズな動作が実現できます。穿を上に上げる動作を防御的に使う場合は腕全体に捻転動作を能動的に練り込むことにより攻撃を弾き飛ばすこともできます。
またこの穿掌の両手の動きをうまく組み合わせれば、関節を極めたりすることもできます。退屈な反復練習に「用法を考える」等の彩りを添えれば繰り返し練習の苦しさを少し紛らわすことができます。
探掌式
本日解説した探掌の要訣は「沈肩墜肘」です。肘を下向きにすることにより攻撃を肘により下に落としたり、脇を守ったりすることができ、また3打目の掌打を良い角度で脇腹に入れるチャンスが大きくなります。
拉筋
基礎十二式を6種行い、下半身がそこそこ温まったところで足を延ばすストレッチを行いました。ストレッチは体が温まっている状態で行う方が肉離れや炎症を行うリスクを下げつつ、伸ばす効果を大きくできます。
擺扣穿掌
扣步穿掌で本日解説したことは、穿掌の際の胯の動きです。胯の開きを活用して穿掌をすれば、より楽で効果的に穿を伸び伸びと打つことができます。胯に向ける意識は非常に重要です。
擺尾掌
手を伸び伸びと動かすには腕自体を遠くに置こうとするのも大事ですが、肋骨や背中など胴体部分をどれだけ意識的に伸ばせるかがキーとなります。
蹋歩穿掌
手は脇から体の横のラインを通って足先まで通っていきます。上の手は完全に逆の向きに向けてバランスを取ります。その後は後ろの手は横隔膜の前を経過しながら一直線のラインのイメージ(あくまでイメージ)を経過して穿をします。
一直線を掌がすり抜けていく動作は、「游龍」の如く行います。中国人はこのように動作のイメージを動物や架空の生き物の「勢」を借りて説明することを好みます。こうすれば文字や言葉で説明できない肖像や動作のイメージが掴みやすくなるからです。非常に重要な要素ですので「勢」については別途記事を設けて解説する予定です。
盤肘
本日新たにレパートリーに追加した肘の動作です。
- 後手を前に出す
- 後手が出し切った頃合いのタイミングを見計らい前手を前方に出す
- 多少タイムラグを作りつつ両手を引きつつ虚歩のような形になる
- 弓歩となり脇に肘を打ちこむ
という流れです。本日は初めて紹介した動作でしたので①②③④という順序で振り付けを覚えて頂きましたが、①②③④は徐々にシームレスに動くことを意識すると全体が滑らかに仕上がります。
本日のまとめ
本日はお昼まで薄暗い曇りでしたが、午後の名古屋はひと雨降った後は雲一つないキリッとした空気に入れ替わりました。
先日から愛知県でも新型コロナウイルスの緊急事態宣言が発令されています。練習は公園で行っているため空気の流通について気にする必要はありませんが、練習は一切の接触をなくし、2m程度の距離を保ちながら用法の解説までを含めすべて模範動作と口頭での解説で実施しています。
人間はオーバートレーニングとなり疲労した状況下でも、運動をしなさ過ぎて体力が低下しても抵抗力が下がり感染症にかかりやすくなると言われています。衛生環境を十分に考慮しつつ、精神に楽しみを与え前向きな気持ちを作り、適度な運動で体力をつける、これでコロナ禍を乗り切ることができればと考えております。