今日の練習　八卦掌　2019年11月16日

秋も深まってまいりました。 秋といえば食欲の秋、読書の秋、スポーツの秋、皆さんいかがお過ごしでしょうか。

さて、今日は朝からぽかぽかお天気の練習日和。諏訪公園で八卦掌の練習をしてきました。

練習内容

本日の練習は以下のメニューで行いました。

暖身

暖身として以下のカリキュラムを練習しました。

中国武術では練習前、練習中に相当な時間をかけてストレッチを行います。中国語ではストレッチの事を拉筋と言い、練習前には必ず行います。日本の武道では準備運動は集合練習の一環として行いますが、中国武術の練習は一般的に準備運動は各自それぞれのペースと時間で行います。

中国武術の練習において、ストレッチや準備運動を個々のペースで行う理由は、体調と体の出来上がり具合は個人個人により異なることが前提であるという考え方があるためです。

もし初心者と上級者が同じ内容のストレッチを行った場合、上級者には物足らないものとなり、初心者にとっては運動強度が高すぎる者となります。最悪の場合、肉離れや運動障害を引き起こし、健康になるための練習が健康を害する結果を導いてしまいます。

基礎十二式

甩手式

基礎十二式の第一動作です。手を体の正中線の前で下から上に向かって跳ね上げる動作です。

揉球式

体の前に大きめのボールのような立体的な空間を作る動作です。動作は下半身で漕ぐ力を使います。上半身は適度な張力を保ちつつリラックスさせます。

七星起式

左半身を前にし、両手を交互に出しながら腰を中心に全身を練ります。歩幅を大きめにすれば下半身の筋力増強も行えます。

掩手式

弓歩になり両手を交互に動かしながら両手で手を挟むようにします。胸の開合も使いますが、胯の開合を意識すればよく動くようになります。

穿掌式

正中線の正面で掌を交互に突き上げる動作です。

探掌式

まず塔手で相手の攻撃を受け、その後穿掌を出して上半身を攻撃しながら、掌打を胴体に打ち込む技撃性の意味合いが含まれた動作です。弓歩を交互に繰り返しながら行います。胯の切れが重要です。

擺扣穿掌

転身を繰り返しながら穿掌を出します。扣步と擺步を交互に練ります。同じ位置で体を回転させます。慣れてきたら360度回転させても構いません。

擺尾掌

大きく手を伸ばし、その後仆步となり手を移動させていく動作です。下半身の粘り強さを練ることができます。

蹋步穿掌

仆歩になり、長拳の仆步穿掌のような形で下盤と身法を練ります。

盤肘

手を挟み込みながら脇腹に肘を打ち込む動作です。

崩拳

歩法と合わせて崩拳という拳打を打ち込みます。重心を下げる動作、左右の開合、意識の集中などを練ります。

左右逢源

独立式になりながら手を受け流し太極拳の双推掌のように両手で前に押しだす動作です。

転掌

転掌とは、円周上をぐるぐると回る功法です。道教の転天尊という行法がルーツであるという見解も出されていますが、どのような経緯でこの功法が生まれたのかははっきりしていません。このあたりは今後の私の研究課題です。友人知人のつてを頼りに現地現物と聞き取り調査、文献調査により確度の高い研究成果を発表したいと思います。

中国武術には、練拳不練功、到老一場空（拳を練るも功を練らなければ老いては何も残らない）という言い方があります。転掌はまさにその功を練るための方法です。

單換掌　右8週　左8週

雙換掌　右8週　左8週

順式掌　右8週　左8週

背身掌　右8週　左8週

翻身掌　右8週　左8週

磨身掌　右8週　左8週

三穿掌　右8週　左8週

回身掌　右8週　左8週

転掌は合計128週を回りました。体はぽかぽか。全身の筋肉が活性化しパワーアップです。128週廻るには大体30分程度かかります。公園の芝生に跡がついているのでそこをぐるぐるぐるぐる回ります。

中国武術の健康増進効果について

近代スポーツとの客観公平な比較検証はできていませんが、運動強度を適切に調整した条件下において、中国武術には、 健康寿命の延長と、身体及び精神の健全性を高める、という効果があると思います。

健康寿命の延長、身体の活性化、精神の健全性の維持という観点は何も中国武術だけが持っている特殊な効能ではありません。

中国武術の教室のうたい文句に良くあるのが、これらの効能をあたかも中国武術特有の恐るべき健康効果であるかの表現した宣伝文句です。この手の宣伝文句を見た時にはそこはインチキ教室である可能性が高いので注意してください。

そして注意深く、では実際に一般的な有酸素運動と客観公正に比較してどの程度の数値で健康効果があり、それが何を以て根拠としているかをたずねてください。

花垣武学研究会はまだ立ち上がったばかりです。普段は一人で練習をしている状態ですが、もし八卦掌に興味がおありの方がいらっしゃいましたら、ご一報頂けると幸いです。

これからも中国武術の奥ゆかしさを楽しんでいきたいと思います。