普段みなさんはどのような靴を履いて武術を練習していらっしゃるでしょうか。
中国武術を練習する者にとって、靴選びは、服装の中で最も重要です。なぜなら、中国武術で拳を練ることは腿(脚)を練ることであるからです(練拳就是練腿)。
私がフェイユエを履きだしたのは2005年ごろからです。当時刊行されていた武術雑誌で特集が組まれたことで興味を持ったことが始まりです。
2010年ごろまでは、練習仲間でフェイユエを履いているのは私しかいませんでした。最近久しぶりに台湾の武館に行ってみると、師兄師弟全員が、フェイユエに切り替えていてビックリでした。
今回は、私が日ごろ練習で愛用しているフェイユエ(feiyue)というブランドのスニーカーについて紹介したいと思います。
目次
フェイユエとは
フェイユエは、1959年に上海で生まれたブランドです。1964年ごろには、靴メーカーの中でトップの生産量を誇り、一番多い時には最大で2000名の職人が靴を作っていたそうです。
見た目はダサい運動靴です。フェイユエは、中国国内で商標を登録していなかったようで、一時期バッタ物が全国を席巻していたそうですが、2005年にフランスのメーカーに買収され、現在に至っています。
少し前の話ですが、映画「少林サッカー」の少林チームの選手がフェイユエを履いて試合に出ていました。(靴まで見てる人はいないと思いますが、へぇーで結構です。)
現在、ヨーロッパのスポーツ専門店では国際的なブランドのシューズと並んで発売されているようです。そしてこのイメージが中国に逆輸入され、現在は中国でもレトロおしゃれブランドとして認知されるようになっています。
フェイユエのメリット
フェイユエのメリットについて説明します。私はフェイユエを2005年ごろから愛用していますのでそこそこの説得力があると確信しています。
フィット感
靴底部のゴムが柔らかいため、足の動きによく追随してくれます。裸足感覚とまではいきませんが、足の指で地面をつかむ感覚(五指抓地といいます)が掴みやすです。
グリップ力
底のゴムが比較的柔らかいためグリップ力は抜群です。今まで履いた靴の中でおそらくNo.1です。硬めの飴ゴムの靴底でスリップをしたことはありませんか?フェイユエはこれが起こりません。体育館の床や絨毯、コンクリート、アスファルトでもしっかり地面との抵抗を維持します。
クッション性
靴の下敷きに弾力のあるスポンジが入っていて、クッション性があります。硬い地面からの衝撃を吸収し、足首と膝を衝撃から守ってくれます。中国武術は硬い地面で練習する場合が多く、クッション性は比較的重要です。フェイユエであれば、靴底が薄いにも関わらずクッション性は良好です。
通気性
布地でできているので通気性は適度にあります。足が蒸れることを最小限に抑えてくれます。長時間の練習での不快感を軽減してくれます。
ダサいが町履きも可能
普通のスニーカーとして最低限のファッション性を備えています。ダサレトロというか、そんな感じです。町履きにも一応対応可能です。
コストパフォーマンンス
大手メーカーの太極拳専用シューズと比較して、コストパフォーマンスは高いです。運動の特性上、靴には大きな負荷がかかりますので、靴の交換頻度は高くなります。金銭の制約を少なくして趣味を楽しむために、コストパフォーマンスは重要な要素です。
ベラベラが中にもあり、砂埃が入りにくい
紐を通す部分の中にも、ベラベラがついていて、砂埃が入りにくい構造です。土の上で練習する時、効果を発揮します。黄土のようなきめの細かい土の世界で育まれた工夫だと思います。
靴底が絶対に剥がれない
靴の布部と白いゴム、靴底の茶色いゴムが融合して強固に圧着されていて、靴底が絶対にはがれることはありません。窯の中で高温で処理をして材質を融着させているのでしょう。実はこれが最大のメリットです。
つま先のゴムがすぐ剥がれる靴は使い物になりません。
フェイユエのデメリット
逆に、フェイユエのデメリットにも敢えて言及しておきます。
やや重い
フットサルシューズやテコンドーシューズと比べて、少し重いです。底のスポンジと底ゴムの重量だと思います。
上面の防水性はない
上面の材質が布のため、防水性はありません。もちろん底部はゴムですから大丈夫です。
靴底の摩耗が早い
フェイユエの靴底のゴムは比較的柔らかい材質です。柔軟性があり、動作に忠実に追随してくれる反面、一般的な飴ゴムよりも摩耗が早いです。
もともと体育館の練習に適しているようです。アスファルトでは摩耗が早いです。
まとめ
メリット、デメリットと列記しましたが、私が今もフェイユエを履いている理由は、現時点で総合得点で武術練習用の靴として最高峰だからです。
現地で買うより少し割高ですが、日本でもAmazonや楽天で購入できます。これからもフェイユエ、注目していきます。