本日は2022年月7月24日(日)です。本日も先週と同じく午前10時から名古屋市熱田区の神宮東公園で八卦掌の練習を行いました。
2022年7月24日の練習内容
本日の練習内容を紹介します。本日の練習内容は以下の通りです。
放鬆功
練習の始まりは恒例の放鬆功からです。まずは手を前後に振るタイプの甩手を練習しました。最初は腕だけで軽く振り、途中で膝のクッションを加えていくといいと思います。
甩手
次は体の周りを回すバージョンの甩手です。初めは腕の重みを感じながらじんわり腕を振り、徐々に負荷を高めていきます。最終的には腕が首に巻きつくような状態になるまで行ってください。
甩手
甩手のあとは柔軟性をさらに高めるためにいくつかの放鬆功を行いました。
放鬆功
基礎十二式
先週の練習では4種の基礎十二式を練習しました。今週はそれに一動作追加して5種類を練習しました。
甩手式
体の正中線を真下から真上に向かって手を振ります。うまくいけば掌が正面にいる人の顔面を下から撫で上げます。また攻撃を真上に打ち払うという意味もあります。
揉球式
体の前でイメージ上の球体を弄ぶような動作を行います。つぶれた球にならず、ハッピー痰のような横向きの楕円形の球面にもならないように気を付けて行います。
どのようにすれば真球にちかい球面を描けるかというと、手の角度を常に変化させ続けることが重要です。水平に動かしてしまえばそれは球面ではありません。
七星起式
体を前後にし、前に置いた手を引いてくるようにします。跨を大きく動かし下半身で全体を統率するようにします。
掩手式
掩手式は両手を交互に動かし、左右の足の弓歩を交互に後退しながら、両手を挟み込むイメージで行う動作です。動作は開と合の概念と捻転の概念が合わさったものですが、開と合のイメージが比較的重要です。しっかりつくった弓歩を解く動作が開、その後捻転イメージを伴いながら逆方向に体を動かし、全体を合で合わせます。
体が全体的にうまく纏まると、人の腕を挟み込む動作、攻撃をねじり受ける動作、人を挟み込む動作等いろいろと変化できます。
穿掌はみぞおち付近に置いた掌を真上に向かって打ち上げる動作です。喉元から打ち上げた掌が伸びきった瞬間に掌を翻します。体はちょうどゴムの様に伸びきったら自然と収縮するようにできています。それをうまく活用すると楽にできます。
顔面をねらって攻撃してくる手を上に捻じり払いあげる動作であるとともに、角度を前に移すだけでこの動作が攻撃動作としての穿掌に変化します。そのまま変化します。
淌泥步
本日は淌泥步を三種類練習しました。
基本の淌泥步
手を体の真横に置き、地面を支えるような形をとりつつ前進します。足は一本の線上を移動します。手は地面を支えるようにしますが、手でバランスをとることはできるだけ避けるようにします。なぜなら手は攻防に使うためにあけておきたいからです。
上半身がゆがまないように、首が前のめりにならないように、体が後ろにそらないように、注意しながらできるだけ大きな歩幅で前進します。
淌泥步+双撞掌
淌泥步を雙撞掌の手形で行うものです。両手の中指を相対する形で胸の前に置きます。肩が上がらないように、そして体を絞めないように、そしてなおかつ適度な張力を失わないようにすることがポイントです。
両手の指をピンピンに張り、完全に開いたタンポポの花の様に指を張り伸ばします。そして肘と肘を接触するくらい合わせて、そのまま腕全体を前に突き出します。その姿勢で前進します。
下半身の拉筋
先週は彈腿を練習しましたが今週は高い腿法を練習することにしました。その前に腰程度の高さの台をつかって壓腿を行いました。
正踢腿
正踢腿は中国北派武術の基本功の中で最も重要なものの一つです。両手を左右に伸ばし、胸を張らずにすぼめない状態にします。それで両足の膝をまっすぐにしたまま曲げずに足を蹴り上げます。足首はしっかり曲げてつま先を自分側に向けるようにします。
双換掌
本日は踢腿を行いつつも、転掌の換掌の中から双換掌の復習も行いました。
双換掌はまず裡步を擺步しながら裡手を穿掌にしつつ翻し、外歩で足払いをしながら一周回ります。その後再度裡步を擺步にしながら、両手で雙撞掌をし、その後続けて足を閉じ、外手の肘を下に向けながら体を沈め、下から天を突きあげるようにします。
その後裡手の指先を地面に向けて腰を落とし、裡歩だけを一歩進行方向に進めてから上半身を弓歩のように開く動作です。
地支八卦
本日は架子の練習の後、地支八卦第一段のうち開と捧、悷を練習しました。
開
まず重心を後ろに移動しながら、手を前に沿え、その後開いて、両手の縦掌を打ち出す動作です。省の指先は両手とも真上に向けてください。そしてバランスを崩さない範囲で、上に上がらずに水平移動でできるだけ大きく前に前進し、急ブレーキをかけてください。
棒
捧は穿掌をしながら斜め前に前進し、掌打を打つ動作です。ジグザグに進みます。ちょうど直線に進んで来ようとする何者かの斜め横に移動することができるようになります。
斜め前に大きく前進しながら、上半身を開き、攻撃を手の前腕で受け止めます。その後後手を上から回し、相手の手を絡めさばきつつ、胴体の脇腹に縦掌を打ち込む動作です。この動作も捧と同じくジグザグに進みます。
本日の練習のまとめ
先週の日曜日は雨あがりの暑い日でしたが、今日はカラッとした日差しの強い別の意味で暑い日でした。朝から3名の方にお越しいただき、集合練習と個人練習を混ぜた典型的な中国式の練習スタイルで八卦掌の練習を行いました。
おしゃべり自由、水分補給自由、休憩も適宜とりつつ日陰を生かした練習をしています。
中国北派武術は冷涼乾燥の地域で発達した技術体系を持ち、高温多湿の環境を想定していないため、夏場は苦しい練習になります。体を動かして気血を巡らせることにより武術の練習自体を防寒として利用することができるようになっているためです。
苦しい練習にはなりますが、体の冷却を司る発汗に関する機能を高めることができ、積極的な熱中症対策にはなるのではと思います。まだまだ暑い日が続きますが、あと一ヵ月もすればカラッと気持ちがいい風が通り抜ける季節がやってきます。
そのような季節の移り変わり、つまり季節の気の変化を感じることも、「人間も自然の一部である」、つまり、中国の思想としての天人合一を体現するうえで重要であると感じます。