空手を練習されている方は、一度は見たことがあると思われるベストキッド(英語名:Karate Kid )に出てくるミヤギさんの教えについて解説しようと思います。
私は空手はかじったことしかありませんが、Mr.ミヤギの教えに感じるところがありましたので本日はこれらを解説します。
ベストキッド
ベストキッド(Karate Kid)は1984年に制作されたアメリカ映画です。1,2,3,4まで作成され、2018年には「コブラ会」と言う続編が造られています。
まずはストーリーの概略を説明します。
ベストキッド1
母親の仕事の関係でニュージャージ州からカリフォルニア州に引っ越してきたダニエルは、友人に誘われて出席したパーティーで知り合ったアリに一目ぼれするが、彼女も元カレのジョニーに目の方にされ派手にやられてしまう。
ダニエルは別のパーティーで仕返しを試みるも返り討ちに逢ってしまう、やられる寸前に現れたのはアパートの管理人をしていたMr.ミヤギでした。ミヤギともにジョニーの道場に話をつけに行った結果、二か月後の空手トーナメントで決着をつけることになり、ダニエルはMr.ミヤギに空手を習うことになるのでした。
ベストキッド2
空手トーナメントで優勝したダニエルは、Mr.ミヤギの父の危篤を聴き、オキナワへ旅立つ。オキナワに到着早々Mr.ミヤギはかつてのライバルであるサトウと出会う。
サトウとは長年の因縁があり、それを晴らそうとサトウはMr.ミヤギに対し決闘を申し込んだ。Mr.ミヤギはそれを断り続ける。ダニエルはクミコという女性と知り合いうがサトウの弟子立ちに邪魔をされ続ける。Mr.ミヤギはあらしの夜にサトウとの中を取り戻し、村の城跡で盆踊りをすることを決定する。そこにサトウの弟子のチョウゼンが乱入する。
ベストキッド3
前回の空手トーナメント後、コブラ会は生徒無しの状態が続いていた。困窮したコブラ会のクリースは戦友だった社長テリー・シルバーを頼ります。シルバーとクリースはMr.ミヤギに復讐することを決意しマイク・バーンズを呼び寄せる。Mr.ミヤギは夢であった盆栽の店を開こうとしていた。
そんな折、マイクはダニエルと空手大会に出場させようとし、Mr.ミヤギの盆栽店をめちゃくちゃにする。空手を教えてくれないMr.ミヤギに愛想をつかし、シルバーから空手を教わるが、手や足を痛めてしまう。
ダニエルはシルバーからの練習を辞めることを伝えにコブラ会にいったが、そこにはマイクとクリースが待ち構えていた。Mr.ミヤギに形を教わりトーナメントに出場するダニエル。反則でいたぶり続けてくるマイクに対して、延長戦で一発を決め2年連続の優勝を果たす。
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Mr.ミヤギの言葉
ここでは映画に出てくるMr.ミヤギの言葉を紹介します。
Karate is for defense only.
カラテは防御をするだけである。
Because boys have a bad attitude.No such thing bad students.Only bad teacher.
あの少年たちの態度が悪いのは彼らの先生が悪いからだ。
Fighting all is the last answer to problem.
戦いはどんな時でも問題を解決するための最後の手段だ。
Better learn balance. Balance is key. Balance good, karate good. Everything good. Balance bad, better pack up, go home. Understand?
バランスを学ぶべきだ。バランスこそがキーだ。バランスが良ければカラテも上手くなり、すべてがよくなる。もしバランスが取れないようなら荷物をまとめて家に帰れ、わかるね。
Lesson about balance. Lesson not just karate only. Lesson for whole life.Everything be better.
バランスを学ぶんだ。空手だけじゃない、人生全てのために、そうすればすべてがよくなる。
Make a perfect picture.
完璧なイメージを描くんだよ
You trust the quality of what you know, not quantity.
数量よりも知ってることの質を大事にしなければならない
First learn stand, then learn fly. Nature rule.
飛ぶのは、まず立つことを学んでから学ぶものだ。これが自然のルール。
Never put passion in front of principle, even if win, you’ll lose.
感情を前面に押し出してしまえば、たとえ勝ったとしてもそれは負けたことと同じだ。
If come from inside you, always right down.
もし心の中から出たのなら、それは常に正しいものだよ。
For person with no forgiveness in heart, living even worse punishment than death.
人を許さない心を持つ者は、死よりもさらに辛い罰を受けて生きることになる。
“Walk on road, hm ? Walk left side, safe.Walk right side, safe.Walk middle, sooner or later, get squish just like grape. Here, karate, same thing.
Either you karate do “yes” or karate do “no.”You karate do “guess so,”just like grape. Understand ?”道を歩く時にはね、左端を歩いても安全。右端を歩いても安全。だけど真ん中を歩けば、遅かれ早かれ車に轢かれてしまう。空手も同じだ。空手をやるも良し、やらないも良し、でも中途半端にやるならグシャっとなる。わかるね。
Win lose no matter.
勝ち負けは問題ではない。
Mr. Miyagi’s first rule stated karate is for defense only.
ミヤギ道空手の一つ目のルール、それは空手は防御のみ(空手に先手無しと掛け軸にはあります)
Karare here Karare here Karare never here.
空手は心であり、空手は気持ちである。空手はベルトの色で決まるものでない。
(Mr.ミヤギが、ダニエルから「What belt do you have?」と聞かれたことから)
No forget breath,very important.
呼吸を忘れるな、とても重要だ
中国武術と共通する概念
みなさまもお気づきだと思いますが、ベストキッドのMr.ミヤギの言っていることと、中国武術の観念には共通点があるということです。私が気づいた共通点を以下にまとめました。
バランス
Mr.ミヤギが何度も言ってる言葉の中に「バランス」というものがあります。これは体の平衡感覚が優れているというだけの意味ではなく、「均衡」つまり人生や人間関係の調整力、協調、中庸、陰陽の配合ほどほどを保つ、など様々な意味を含んだものです。
バランスは日本語では均衡(きんこう)、中国語では均衡(Junheng)同じです。ですが中国語のほうが深い含みを持つ言葉のように感じます。
呼吸
バランス以外にもMr.ミヤギは呼吸について何度も言及しています。呼吸は大事です。人間は呼吸して酸素を取り入れること、食事より栄養を摂取すること、この二つで生命を保っています。
また呼吸をすることで交感神経や副交感神経を調整したり、呼吸を動作と強調させることにより重心を調整したり、打撃や防御に応用したり、深く研究し能動的に活用すれば武術にポジティブに作用します。
呼吸を意識して、意識してできるようになった呼吸を意識しないでできるようにすること、これが中国武術でいう精錬された自然呼吸です。とても重要です。呼吸は空気を吸ったり吐いたりすること、空気とはすなわち「気」です。気を意識すること。これもとても重要です。
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不争の徳
Mr.ミヤギの言葉には「争わない」決意が多く込められています。「戦う」「争う」「立ち向かう」そのような姿勢は常に人との干渉と衝突を招きます。
謙譲し、赦し、謝り、時には相手の股の下をくぐる、そうしてでも衝突を避ける。そのような心構えが大事です。
当たって砕けてしまう愚かな思考を持つ人が多い国はあります。しかし中国人は戦わずして克つ、撤退と退却の中で力を蓄え勢力を盛り返す、無駄な衝突を起こさない不争の徳を心に秘めて日々を送っています。
Mr.ミヤギに学べ まとめ
今回は ベストキッドのMr.ミヤギの言葉をピックアップして紹介しました。ピックアップできていない部分はあるものの、Mr.ミヤギの教えは創作映画の中だけにとどまらず、少なからず武術をたしなむ方の姿勢に影響を与えているかもしれません。
ベストキッドは空手を取り扱った映画ですが、その教えは中国武術の考え方にも大いに通じる部分があります。均衡、呼吸、不争の徳がそうです。
中国武術を練習している方もベストキッド1,2,3をぜひ見てみてください。何か得られるものがあるかもしれません。