今日は夕刻に公園で練習を行いました。今日の練習内容を紹介します。
2019年11月18日 本日の練習内容
本日の練習内容は以下の通りです。
穴位のマッサージ
運動をする前に、体の上部から下部にかけて穴位(いわゆるツボ)をマッサージしていきます。日本語で何と言えばいいのかわかりませんが、体内の意識の通りをよくするために行います。
練習前に体のマッサージを行えば気持ちが整い、腱や筋もほぐれ急な引っ張りや収縮の際に体が損傷を受けにくくなります。日本人の武道の準備運動は概して幼稚な内容が多いですが、中国武術や中国の養生術は、スポーツ科学という分野が現代科学と学術研究と臨床的データを蓄積しその結果を研究する前から準備運動の重要性を理解していました。
練習前のツボ押しはスポーツのパフォーマンスの向上に意味があります。怪我の防止にもなります。少しで良いのでマッサージと一緒にとりいれてみてください。気分もポジティブになり体が軽くなります。
鉄牛耕地
日本語で言う腕立て伏せですが、やり方は少し異なります。以下の動画では地面で行っていますがこの動作はかなり負荷が高い物です。本日はベンチを使って斜めに角度をつけ10回程度行いました。目的は打撃力アップや筋力アップとかそういうことではありません。ただ、血暢通脈(気血が体をスムーズに流れること)を目的としているだけです。
下の動画では手のひら全体を地面につけて動作を行っていますが、指先だけを地面につける指立て臥せのような形もおすすめです。ゆびたてふせを行う場合は指のすべての関節を円くしておこなうとより効果的です。回数は10回程度でも十分効果があります。
動作に慣れたら、歯を食いしばったり、眉間にしわを寄せたりせず、心を平静にしながらできるだけリラックスした状態で動作に取り組んでみてください。
拉筋
日本語で言うと、柔軟体操といえると思います。筋を伸ばす運動です。ベンチに足をのせて、大腿部の裏の筋肉を中心に緩めます。拉筋(筋を伸ばす、拉は引っ張ること、ラーメンのラー。)と書きますが、強引に引っ張ることはしません。緩める、または緊張を取り除く、という表現が正しいと思います。太ももをさすったり、揉んだりしながら、深層筋を緩めていきます。
筋肉は無理に引っ張らない。「柔軟体操」といって無理に引っ張るのは有害無益
日本人が行う「じゅーなんたいそう」というものと中国武術が行う準備運動のアプローチは体に対する思いが違うことを意識してください。
拉筋を効果的に行う方法は、まずはゆっくり時間をかけて行う事、そして号令を掛けたりして自分以外の人間と歩調を合わせないことです。自分の、自分だけの体のために、自分だけのペースで十分な時間をかけて体を練ってください。30分以上を準備体操にかけても全く長いということはありません。
1時間以上柔軟体操と体の操法を組み合わせたものをやるという事も珍しくありません。
鬆跨
股関節と骨盤周りを緩めるために、回したり、前屈したりを行いました。跨とは骨盤あたりのことをいいます。日本人は体を上半身と下半身に分類します。跨は下半身に相当します。ちなみに腰は体を上、中、下に分ける場合(こちらになじみがあります)、中にあたります。腰=英語でウエストですよね。尾てい骨、鼠径部、骨盤は腰には含めません。
打坐
練習の最後に、10分ほど打坐(仏教でいう座禅)を行いました。八卦掌は一点の円心のまわりのを圏(サークル)を歩く転掌という功法を行います。打坐はこの八卦掌の転掌から歩くのをやめた功法です。ただ座っているか歩いてポーズを作っているかの違いはありますが、やっていることに大きな差異はありません。
私の打坐のやり方は足を結跏趺坐というやり方で組み、手をお下腹部の前に置き、水滴型のような形に組んで目を半開きにして静かに呼吸をするというやり方です。
まとめ
飛んだり跳ねたり、下半身を深く落とす練習も結構ですが、今日の様な練習も味があって好きです。激しい運動で体に負荷をかけると、体は傷つき消耗します。「静」の練習で体を休めながら体の調子に耳を傾けトリートメントするのも重要な練習です。
武術とは何か、それは私にとっては、人生をかけたものでもなければ、人生の全てでもありません。ただの趣味です。単なる余暇活動にすぎません。時々、日本の方で、武術を嗜む者は、それを人生の主体とし、何もかもを投げうってでもすべてを捧げなければならないという方もいるかもしれません。でも中国人はそういうやり方で武を嗜むことはしません。文化と価値観の違いでしょうね。
余暇活動に過ぎないものが、人生を豊かで幸せなものにするならば、時間と手間をかける価値があると考えています。