中国茶とは、中国や台湾等で作られるお茶の総称です。中国や台湾、香港マカオという中華社会のみならず世界各地に愛好家がいます。
日本では中国茶といえば烏龍茶が有名ですが、実は烏龍茶は中国南方のごく一部で消費される地方のお茶にすぎず、中国中南方では緑茶が、北方ではジャスミンティーが飲まれています。
本日は中国人に愛され飲み続けている中国茶と茶文化について紹介します。
中国茶とは
中国茶とは中華社会で作られるお茶であり、製法により6種類に分かれます。
- 青茶
- 黒茶
- 緑茶
- 紅茶
- 白茶
- 黄茶
- その他
大別されます。
茶はもともと嗜好品というより薬として飲用されており食べものとしても利用されてきました。茶は魏晋の頃から四川省周辺で飲まれるようになり、隋および唐代には煮出す、粉末状にする煎茶にするなどの楽しみ方が広まりました。
唐代には喫茶の習慣は北方の遊牧民族にまで広まり、野菜を摂取する機会の少ない北方の遊牧民族にとって今日に至るまで重要なビタミン補給元となるに至っています。宋代には北方民族での喫茶の重要性がさらに高まり、茶と馬を交換する交易で莫大な利益を得るまでになりました。
明代には固形茶を砕いて煮だすという喫茶法はすたれ、茶葉を湯に浸す泡茶法が広がります。また清代には喫茶法が現在とほぼ変わらなくなっています。
日本における中国茶の広まり
日本ではお茶と言えば長らく緑茶に代表される日本茶や紅茶が主流でしたが1980年からウーロン茶にダイエット効果がある、油を洗い流す効果があるという噂が流れたためウーロン茶が一斉を風靡します。その後2000年代に入り、ウーロン茶以外の中国茶も日本に紹介されるようになりました。
最近はウーロン茶以外の中国緑茶や軽発酵の清茶、ビンテージもののプーアル茶も普及し、人気を集めるようになっています。
茶芸
中国にはもともと日本の茶道に当たるようなお茶の作法はありませんでしたがのちに台湾の茶商が福建南部のウーロン茶の飲み方である「功夫茶」という作法を参考に考案しています。
中国茶の種類
ここでは中国茶の種類や特徴を説明します。
緑茶
中国茶と言えば緑茶です。緑茶は茶葉を摘み取った後釜炒りをして発酵をとめた無発行茶です。中国で消費される8割程が緑茶であり、特に華中地域で愛飲されます。代表的な緑茶は、龍井茶、毛峰茶、碧螺春等で、中国どこでも手に入ります。
白茶
お茶の若葉や芽を摘んでそれを発酵させ乾燥させたお茶です。採れる量がすくなく珍重されるため、高級品種が多いです。代表的なお茶は白毫銀針です。
烏龍茶
烏龍茶は収穫した茶葉を半発酵したお茶です。日本では深めに焙煎した烏龍茶がペットボトル飲料として売られていますが、ウーロン茶は軽発酵で焙煎をしていない清茶から深めに発酵させ焙煎したウーロン茶まで様々な種類があります。
日本の方は、中国人が愛飲しているのは烏龍茶だと思っているかもしれませんが烏龍茶は福建地方や福建移民の多い台湾地区だけで飲まれる地方茶という扱いです。
代表的な烏龍茶には凍頂烏龍茶や鉄観音があります。
紅茶
紅茶といえば、セイロンティー、アッサムティー、ジャワティーなどが有名ですが中国や台湾地区でも作られています。
黒茶
黒茶は後発酵を行ったお茶で代表的なものはプーアル茶です。黒茶は長期的に発行保存したものに価値があるとされビンテージ物も珍重されます。また固められて持ち運びが容易なため、草原や高原地帯、砂漠地帯まで幅広く飲まれています。
花茶
緑茶などの茶葉に花びらを入れてその香りを写したものです。中国北方では、ジャスミンティーよく飲まれます。また金木犀の香りを写した桂花茶もよく見られます。もともと粗悪な品質の茶に香りをつけ風味を高めるために考案された茶ですが、最近では高級茶葉を使った花茶も現れています。
中国茶の飲み方
中国茶の飲みかたはお茶の種類により様々ですが、代表的なものを以下に紹介します。
茶壷を用いる
いわゆる急須を用いた飲み方です。紫砂で作られたものは黒茶や発酵度の高い烏龍茶を飲むのに適していますし茶壷を育てる(養壺)を楽しみにする方もいらっしゃいます。
マグカップで楽しむ
緑茶や軽発酵の清茶を簡単に楽しむには、マグカップに直接茶葉を入れるという方法もあります。緑茶ですとガラスのコップに入れて茶葉の形や色を比べることも楽しみの一つになりますし丸く固めたジャスミンティーは、中に仕込んである花を観賞することもできます。
蓋碗で飲む
蓋碗とは蓋のついたお茶碗のことです。蓋腕から茶杯に注いで飲むこともできますし、蓋を茶こしの代わりにして蓋腕でそのままお茶を飲むこともできます。両手を使ってお茶を飲めばその姿自体が非常に優雅に見えます。
ティーポット
西北の民族では紅茶や黒茶をティーポットに入れそこから茶碗に注いで飲んでいます。
中国における茶文化
中国では、茶を嗜み論じることは、士大夫の楽しみとして浸透していきました。茶を飲みながら詩を吟じ、琴を奏で、書を嗜み、絵画骨董そして哲学までを論じることが中華文明を担う教養人たる者の証とされていました。
現在でもこの伝統は引き継がれ、書と茶、芸道と茶とは切り離せない関係にあります。中国や台湾地区でも多くの茶芸館があり、そこは文化人、風流を楽しむことを良しとする階層のサロンとなっています。
まとめ
本日は、中国茶について解説を行いました。私たち中国武術を練ることを余暇活動とする者にとって、中国文化を生活に取り入れ、実際に嗜み、これを品評し論じることは、中華文明をより深く理解することにつながります。
東方の、月代を剃った武夫が闊歩し支配する文化の中にある飲み物と、中国武術は相いれません。中国の伝統武術を練ることの楽しさ、面白さは、中華民族が嗜む伝統的飲み物を飲んでこそ、得ることができるものです。
中国武術の練習には、中国茶を取り入れて、風雅で優美な中華の世界に浸ってみてください。