中国武術

中国武術は気を使い、筋肉を使わない、のウソ

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中国武術について皆さんはどのようなイメージを持たれているでしょうか。

  • 中国武術は気を使う
  • 中国武術は筋肉を使わない
  • 中国武術は勁を使い力を使わない

などいろいろなことが巷に流れています。

屈筋と伸筋
屈筋優位と伸筋優位が生み出す中国武術と日本武道の差異日本武道は投げを伴う流派が多く、突き、蹴りが比較的少ない傾向にあります。中国北派武術は、打(打撃) 踢(蹴り) 摔(投げ) 拿(関節) ...

結論から申し上げると、中国武術は気を使いません。気はまだ科学的に証明されていませんん。中国人は気を使いませんが「気の概念」を使います。また、「中国武術は力を使わない」も嘘です。そして、「筋肉を使う」も嘘です。厳密に言うと「筋肉は使われるもの」です。

本日は現地で見聞したことを参考に、私の考える中国武術における気や筋肉の概念について解説します。

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気とは

気功気功

中国人にとって「気」とは、生命エネルギー、または森羅万象のエネルギーとして具体的に生活に係る概念です。中国人は、生命は気のエネルギーによって動かされており、それが正しく循環することにより人間の活動が営まれ、健康を維持できると考えています。

日本人にとっては、気は「気合の気」「元気の気」などで表現され、特に剣道に於いては、発生することを「気」と認識します。声帯で音声を発することと気は関連性は無いことは無いですが、なぜこのように日本人が表現するのかは私も意味が分かっていません。

おそらくですが、気本来の考え方に対する認識の甘さ、あとは、外来的概念である「気」やそのイメージ対する限界がここで見えてくるのだとおもいます。日本武道に対する見識には限界がありますのでコメントはここまでにします。

中国武術における勁と力について

気功気功

中国武術は勁を含めた広義の力というものを使用します。但し中国武術では統合され製錬された力「勁」と製錬されない力を「蛮力、拙力」として分類し区別します、老師によってはこれを言葉上では区別せず、実際の概念上で区別することがあります。

「用力!(力を使って!)」。老師がこのように言う場合、「ちからをつかうんだなー」という風に解釈するようではあなたの練功の程度はそこで終了です。「用力!(Yongli!)」という音節を聞いて、状況判断により、それが力を用いるのか、勁なのかを文脈、語調、雰囲気、状況から適切に判断できるようになっておかなければなりません。(ほとんどの場合、「勁」を指します。)

ちなみに、勁と力は、中国人の一般用語であり、生活の場では、勁と力の定義は中国武術の専門用語としてほど明確に区別分類されないことを予め理解しておくことも必要です。

日本語ネイティブの方は日本語における「すべすべ」と「つるつる」の違いは直感的にイメージできますよね。これと同じように、勁と力の違いを直感的につかんでおくだけでOKです。

以上を整理すると以下の通りとなります。

勁と力についての要約まとめ
  • 勁は全体的に統合され製錬された力
  • 力とは製錬されない「蛮力、拙力」
  • ゆっくりな勁もあり、鋭い力もある。速度とは無関係
  • 一般用語としては勁と力は明確には区別されない
  • 勁を力と表現することもあり、その逆もある。文脈、語調、雰囲気、状況から判断
  • 勁と力を言葉上使い分けない老師もいる。但し、概念的に使い分けは行われる

中国武術は筋肉を使わない?

気功気功

中国武術でも筋肉は使われています。「中国武術は筋肉を使わない」「製錬された武道は筋肉を使わない」ということをどこかで見たことがあります。これを主張される方は、試しに自分の筋肉をハサミでブチブチに切ってみてください。そしたら体が動かなくなりますから(笑)

中国武術は筋肉を主体的に動かすのではなく、筋肉を受動的にいかに動かさせるかということを考える武術です。筋肉の動きを司るのは、「意」であり、「神」です。神を(かみ)と呼んだ人は、神経「神様の径」と考えるんでしょう。

余談はさておき、スポーツ科学ですでに科学的に証明されている人間の生理学的な運動の命令の流れは、不随意筋(心臓など)を除くと、脳が命令し、運動神経とその周辺により具体的に調整された指示がある種の電気信号によって筋肉に伝えられ、筋肉がそれにより動かさせられる、その結果体が稼働する、となります。

要点をまとめると以下の通りです。

筋肉についての要点まとめ
  • 筋肉を使わないは完全にウソ
  • 筋肉を使うも半分ウソ
  • 「筋肉は使われる」が正解
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中国武術は気を使う?

自然と気功自然と気功

中国武術は気を使うのか? 実は中国武術は気を使っていません。正確に言うと、気を使っているかどうか、まだ誰にもわかっていません。但し、確実に言えることがあります。それは

  • 中国武術は意識(意念)を使っていること
  • 中国武術は「気の概念」を使っていること

です。そしてますますわけがわからないことに、中国人は「気の概念」をつかうことを「気を使う」と言います。そしてもう一段掘り下げると、「気の概念」を使うという考え方ではなく、「本当に気を使う」という気持ちを持たなければ、中国武術を大成させることはできません。

そしてその「気」はまだ証明されておらず、使っているかどうかはまだ誰にもわかりません。今後の客観公正で科学的で再現性のある検証が待たれるところです。

まとめ

気功気功

本日は、中国武術における「気」、「勁」、「力」、「筋肉」について解説しました。抽象的な内容、またはイメージ、印象、感覚、雰囲気そのようなものが大きな要素になるものですから、日本語で明文化することは困難です。ただし、感覚的な表現に於いては、漢語は日本語より相当に明確でわかりやすい言語です。むしろ、大和言葉のほうが「すべすべ」「ピカピカ」「つるつる」といような表現を多用する難しい言語です。

これらの日本語の違いを直感的にイメージできるのと同等のレベルで、漢語(いわゆる中国語)のイメージを直感的に理解できれば、中国人が考える「力」「勁」「気」を理解することは簡単簡単です。そしてこの感覚は成人後に後天的に習得することも可能です。

外国の文化に接触し、それを吸収するためのハードルは、ここ1300年で相当なレベルで下がっています。遣隋使、遣唐使として朝廷より派遣された当時の官僚、僧侶や武官は、隋、唐の長安の異国の地の慣れない言語と環境の中、行政制度、土木技術、建築技術、宗教、言語、兵学などあらゆる文化、技術、知識を学び、持ち帰り、倭国の発展に具体的に寄与しています。

現代人は、おそらく彼らの100分の1以下の労力、資金、努力で目的を達成できると思います。

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