今日は午前中は雨でしたが、午後は天気が回復し、練習日和となりました。今日はいろいろと部屋で事務的用事をしているうちに夕方になってしまったので、練習は夕食後に行いました。
2020年1月18日 今日の練習
今日の練習内容を報告します。
槍術
先日youtubeチャンネルにアップした動画を師兄に見てもらい、アドバイスをもらいました。師兄からのアドバイスは「槍扎一條線」の5文字だけ。
私の攔拿扎は拿における相手の長兵器を巻き込んで自分の右側に打ち落とし、叩き折る、という意識が強すぎたのか、槍の位置が下に落ちすぎていました。これを修正し、扎槍が一直線上に突き抜ける様、修正を試みました。また、扎の方法の変更にもチャレンジしています。
私のもともとの攔拿扎の方法は、私の老師が若い頃に行っていた方法を参考にしたものです。当時、老師はまだ存命でしたが、年齢が90歳を迎えており、壮年期(それでも60代頃)の動きをすることはできませんでした。私は学校の帰り、国家図書館の映像記録保管室に行って、昔のテレビ番組の記録映像に映っていた老師の映像を捜索し、確認を行いました。
私は中国武術を客観、公正、公平な視点で分析、研究、評価するために、自分の老師、系譜についても恣意的目線、権威を誇示する視線を持つことはありません。ですが、この時に見た老師の映像はいまでも忘れていません。攔と拿の動きは、相手の長兵器を受けて、下に払い落とし、叩き折るという「勢」が映像を通してでも見ることができたからです。
私が、欄で跨をやや過剰に切るということもこれを参照に故意にやってることです。老師の扎は動作完了時に右掌が上を向く方式です。私もこの方法を採用していますが、もちろんこれが絶対であるというわけではなく、「捻り貫く」という意味での「扎」は、別に、正拳のように拳を反時計回りに捻り突き抜ける方法がむしろ主流です。
このほうが「扎槍一條線」をよく表現できます。そういえば今回アドバイスをくれた師兄の扎はこの方式です。攔、拿の見た目の動作も私の動きよりも小さいものです。
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動作や姿勢より大事な物
日本人はなぜかよくわかりませんが、「外観、姿勢、規格化された動作」を重視します。中国人の老師からもよく「動作好漂亮」(動作は、綺麗だね)、と褒めて貰っている?のを聞いたことがあります。通訳を介して聴くと「あなたの動作はとても綺麗です」と解釈できます。中華民族は面子を重んじ、相手の面子も重んじることから、このような表現にて相手を尊重します。
ですが、中国武術にて重要なものは、規格化された姿勢や動作ではなく、内包され、内包しきれずに外に溢れ出す「勢子」です。台湾地区の伝統武術の表演大会で評価されるポイントは、「勁道」、「節奏」、「風格」です。
伝統武術の表演大会は規格化された同じ套路を競い合うのではなく、多種多様な套路を演じ、それらの異なるものの優劣を同じフィールド上で数値で評価します。よって伝統武術大会の審判員には、中国伝統武術の、歴史、背景、拳種、門派、技撃的特性、風格、という全般的な事象について、深い見識が必須です。私は審判員の資格は持っていませんが、中華民国国術総会のB級教練の訓練課程において判定方法についての訓練は受講済みです。
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師兄や老師の助言について
一見さんの練習者は、現地の老師や師兄から、建設的な助言、建議を受けることはできません。彼らは先ほども申し上げた通り、面子を重視し、格下の相手の面子をも立てようとします。よって批判的と捉えられる可能性のある発言は行いません。
建設的な助言、建議を受けるためには、老師や師兄がこちらを一見さんではなく、身内の人間であると認識するまで通い詰める必要があります。「人與人之間的關係」を築くことです。そうすれば、本質的、建設的な助言を受けることができるようになってくると思います。
もう一点別の観点から助言について申し上げると、中国人の文章表現的なこだわりとして、少ない文字数で多くの意味を表現できるほど、学識と教養が高いという認識があります。
今回はこの「扎槍一條線」(zha qiang yi tiao xian) という5つの音、に
「拿から推移し捻りつく扎という動作の槍の軌道は、拿から一直線上に前方にねじり突き出されるべきであり、その軌道がずれているのは間違っているんだよ」
という言葉が、表現されているんです。そして尚且つ、これを批判するような表現方法を取らず、5文字を以て表現を収斂したということは、
- 「具体的な部分は自分で気づいて修正する事」
- 「皆まで言わなくても、彼なら理解できるはずだ」
という気持ちも込められています。
ですから、この「扎槍一條線」という5音の音節を私はとてもありがたく思いました。
まとめ
今日は簡単な拉筋(ストレッチ),蹓腿(足上げ)を行った後は、槍の操法(攔拿扎)と套路しかやっていません。しかし、槍を置いて、適当に徒手の動きを行うと、不思議なことに、体全体のタイミングがピタッと合い、「ザッ」っという音がする一瞬に、すべての軌跡がまとめられた動きができるようになっていました。
今日も以槍練拳 という境地を体感できた一日でした。