私が小学生のころ、子供がファミコンをやりすぎる、ということが社会問題となっていました。1秒間16連射で有名だった高橋名人が「ゲームは1日1時間!」と言っていたのを覚えていらっしゃるでしょうか。もうかれこれ30年前の話ですが。
今日は一回の練習時間についてお話をしたいと思います。
中国武術の練習内容
中国武術の練習は、
- 暖身(ウォーミングアップ、体を温める)
- 拉筋(ストレッチ)
- 基本功(立ち方の確認、単発練習等)
- 套路(型練習)
- その他各自の研究課題に取り組み
が基本となります。
一般スポーツは、練習メンバー全員で声を出しながら、簡単なストレッチだけで準備運動を済ませる事が多いと思いますが、中国伝統武術はウォーミングアップに多くの時間を使います。
一回の練習に適切な時間
私は、アマチュア武術家の練習時間は一日1時間半程度が最適だと考えています。理由は以下の通りです。
- 勤め人が趣味として嗜むためには、何時間も時間をかけることができない。
- ある技術が向上する程度の練習を行える。
- 疲労が蓄積する前に練習を終了できる。
- 集中力が持つ。
- 仕事のある日でも社会生活、家庭、趣味のバランスを保てる
疲労と能率及びパフォーマンスのイメージモデル
疲労と能率、パフォーマンスのイメージを以下に示します。
ゾーン1 | 疲労は無いが、まだエンジンがかかっておらず能率が発揮できない状態 能率は急激に上昇する。 |
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ゾーン2 | 能率がある程度上がり、まだ疲労もあまり自覚していない状態、良好なパフォーマンスを維持できる。 |
ゾーン3 | 能率はさらに上がり、高いパフォーマンスが発揮できるが、同時に疲労を自覚し始める状態 |
ゾーン4 | 能率の上昇率は下がり、疲労をある程度感じる状態、疲労が総合パフォーマンスに影響を及ぼし始める。 |
ゾーン5 | 能率は上昇は見られなくなり、疲労を強く感じる。疲労を翌日まで持ち越してしまうレベル |
運動強度にもよりますが、ゾーン3のあたりで一回の練習を終了するようにすれば効率的には最大限の効用となります。(あくまでもイメージ、仮想モデルです)
練習時間が長すぎるデメリット
一回の練習で1時半以上を行うデメリットは以下の通りです。
- 疲労の蓄積
- 集中力低下
- 一定時間当たりの運動効果の低下
が起こります。
練習時間が短すぎるデメリット
練習時間が短すぎると、調子が上がるまでにタイプアップしてしまい、技術向上の練習を行うことができません。ですが、練習時間が長すぎると、疲労が蓄積します。
おおよそ1時間半を境に、疲労蓄積による集中力の低下が効率上昇による効用の上昇を上回ってしまいます。つまり、連続した3時間の練習は1時間半の2倍の価値を持つということは言えないということです。
まとめ
中国武術は「気の概念」を使います。気を使うのではなく、「気の概念を借用」して考えます。そして、実際には自分の筋骨を使って動きを作っていきます。筋肉に疲労が蓄積するとこむら返り、炎症が起こり、回復に時間がかかります。
不定期セミナー、ワークショップでは、移動時間を考慮すると、説明時間を多くとりながら
一回の講習時間をこれより多くとることが効率的です。
練習は一回1時間半程度にすることが、
- 練習成果の合計
- 疲労
- 一単位の時間当たりに換算した成果
を勘定して最大の効用が見込める時間であると考えています。
今日は練習時間についてお話ししました。日々の個人練習の目安として練習スケジュールの参考にしていただければ幸いです。