中国武術

中国武術上達のコツ ~股関節を上手く使おう~

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現在中国武術を練習されている方で、現地の老師や師兄と何かが違う。ここからさらに一歩上達するにはどうしたらいいのか?と悩んでいる方はいらっしゃいませんか。体の使い方で何かが違うと感じている方は、跨を上手く使うことで上達の糸口が見つかるかもしれません。

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今回は跨の概念とその使い方について解説します。

跨とは

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跨とは日本語で言うと骨盤や股関節に当たる場所を言います。

跨には骨盤全体や大腿骨上部と骨盤が接続される股関節を含みます。ここを中国語で跨股と言います。また跨にはいわゆるウェスト(腰部)は含まれません。

日本語では腰の範囲が中国語よりやや広く、骨盤、股関節あたりまで腰と認識することがありますが、中国の概念、とくに中国武術では、跨と腰は明確に区分することが多いです。

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跨を使うメリット

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跨を使うメリットは以下の通りです。

体の大きな部分を使える

跨は体の中でも大きな関節にあたります。跨は骨盤を包括する概念だからです。人間の体が出せる力は、おおざっぱな言い方をすると断面積と強い相関関係があります。

股関節や骨盤がすべて筋肉でできて言うというわけではありませんが、腹部、臀部、大腿部には大きな筋肉があり、また大小さまざまな深層筋があり、これらを総動員させれば大きな力が出せます。

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上半身の省エネになる

跨や下半身に重点的に動作の配分をすることにより、上半身の省エネ化が実現できます。上半身の省エネ化は実現できますが、大きな部位を大きく使うことになるため全身で消費するエネルギーは大きいというのがネックです。ですが型や腕という小さな部分にかかる負荷を抑えることが可能になり、全身の筋断面積に対する負荷平準化が実現します。

上半身が連動してくれる

跨を動かしさえすれば、跨より上にあり跨に乗っかっている中半身、上半身は跨に合わせて連動してくれます。上半身をどう動かそうか考えなくても、跨さえ動かせば上部の主砲塔は向きを変えてくれるわけです。

跨を練る際の注意点

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ここでは跨を練る際の注意点について解説します。

跨股についての理解が必要

跨を練る時メリットは多いですが、跨を練るには跨という関節を理解する必要があります。
跨は日本語で言うと股の事ですが、骨盤や大腿骨の付け根部分を包括する概念であり、狭義にはウェスト部分を含みません。

日本語では跨とウェストの区別が曖昧模糊としていますので中国武術の動作を日本語で説明する人が、「腰を回して」といっても要旨が的確に伝わりません。中国武術で使う中国語の跨と言う部分を中国人の感性で理解することが必要です。この辺がうまく理解できてないと、「カリフォルニアロール」や「あんかけスパ」が出来上がってしまいます。

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跨股を動かすには訓練が必要

跨股を上手く動かすには訓練が必要です。人間誰でも股関節を動かして歩行をしていますが、それを中国武術の動きに合わせて適切に、合理的に、うまく、スムーズに、無駄なく、無理なく動かすのには訓練が必要です。

股関節と言うより骨盤全体を大きな球面ベアリングのように立体的に動かし、下半身の力を減衰させることなく、むしろ下半身から届いた力をブーストさせるために使えれば、跨股の利用価値は高まります。

跨股の柔軟性が必要

跨股を上手に使い、勁の運用をスムーズにできるようにするには、跨股にある程度の柔軟性が必要です。股関節の柔軟性には個人差があります。何もしなくても開脚ができる方、体質的に深い屈伸ができない方など様々です。

跨股の可動域が狭ければ股関節と言う関節を有効に使うことはできませんので柔軟性を高めるために手間をかけてストレッチをする必要があります。

運動傷害に注意する必要がある

跨股は全体的に大きな関節です。柔軟に且つ自分の思い通りに動かせるようにするには物理的な柔軟性と可動域の広さは欠かせません。

そのためには柔軟体操が必要ですが、股関節は非常に複雑な機構を持っており、大小さまざまな深層筋肉が複雑に絡み合っています。大きな筋肉や腱を伸ばそうとするあまり、小さな筋に耐えきれないだけの負荷を掛けてしまい肉離れ、腱の断裂を引き起こしてしまっては目も当てられません。

跨股の柔軟性拡大には、十分に準備運動を行い、且つ慎重な姿勢で無理の無い範囲の動作を気を長く行う必要があります。

腕の筋肉が肉離れしてしまうだけでは日常生活には大きな影響は出ませんが、股関節や大腿部に炎症を起こしてしまうと一歩一歩の歩行すらとても苦痛です。皆さんも一度は「寝違えた」経験があると思いますが、首だけであの調子です。運動なんてとてもできる状態ではなくなってしまいます。

まとめ

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跨股を上手く使うことについて解説しました。

中国武術でよく言われることは「身法」を使うことの重要性です。身法とは具体的に言うと跨股やウェストや背中をどう使うかと言うことですこの点、北方人と比べて日本人は扱いきれていないと思います。おそらくは跨股に対する認識と理解が不足していることが原因の一つだと思います。

中国武術を上手に練るには跨股を上手に使うことは必須です。身法、勁、気沈丹田、上虚下実、落跨にも関連性のある重要な要素です。

詳しいところはご自身が現在師事している老師に聞いてみてください。身体操作、武術の招式への展開方法について的得た具体的な内容を紹介してもらえると思います。

本日のブログが皆様の中国武術研鑽の参考になれば幸いです。

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