中国伝統武術を総合格闘技的な枠組みにはめ込んで優劣を争うという方式が今日議論されていますが、中国武術を格闘技として考える場合、相当不利な状況に置かれると思われます。私は中国武術を使って総合格闘技に参加することはお勧めしていません。
本日は中国武術を現代格闘技として考えた場合について解説します。
中国武術が想定するフィールド
中国武術の技術体系が整理された時代背景を考慮し、中国北派武術が想定するフィールドを以下に記述すると
- 黄土高原及び黄河の沖積平野、温帯と亜寒帯の中間部、半乾燥地帯
- 前装式銃から後装式銃への過渡期
- 火器はあるが普及率は低い
- 警察機構が弱く、集落や富農は野盗からの襲撃には自衛武装で対処する
という環境と時代背景です。
技撃について想定される状況としては、
- 一対一から複数対複数まで想定
- 徒手対武器、武器対徒手まで想定
しています。つまり、
- 徒手及び裸足という形式で成立、発展したものではない。
- 必ずしも一対一を想定しない。
- 寝技の技術があまり含まれていない。
- 徒手の攻防技術のみに集中的に時間を投下しない。
ということを意味します。
日本の形式を借用して敢て例に出すならば、古武道と型稽古で試合に出ていくイメージです。(あくまでイメージです)ですから、基本的に無理があります。
個人的見解
格闘技として強くなりたいという件について、個人的見解を申し上げます。格闘技として強くなりたければ、中国武術を辞めて、格闘技として技術を磨くことが一番の近道です。
- 靴を履くことが前提の蹴り技
- 複数を相手とすることを想定する技術
- 武器術
- 袖や髪の毛を掴む技術
- 地面の土を相手に向ける技術
- 養生術
- 呼吸と動作の協調
- 気勢と動作、門派の風格と背景の理解
- 急所への攻撃と急所への攻撃に対処する技術
このあたりにおいて、時間と労力の浪費が起こります。
はっきり言って「中国拳法は弱いです」。多分。
今まで、格闘技として勝つ、という目的を持ちつつ、中国武術を冠してやられている方を見たことがありますが、中国武術に囚われない方が、勝てそうな気がする方がたくさんいらっしゃいました。中国武術に囚われない方が良いと思います。
まとめ
中国武術は、格闘技が求める強さ、試合での勝利を目的としておらず、これを求める者にとって、中国武術を練習することは、時間と労力の浪費となるため筆者はこれを推奨しません。
私は格闘技を体験したこともありません。中国武術を格闘技としては取り上げていかないですし、今後取り上げる予定もないため、この諸説についてはこれ以上コメントを扱う立場にありません。これ以上の中国武術の格闘技としての見地については、他の研究者、実践者に見解を委ねることしたいと思います。