中国武術

中国武術上達のコツ ~ソフトウェアのアップデート~

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中国武術に限らずスポーツの上達に欠かせないものは何だと思いますか。上達に欠かせない要件は大きく2つの要素が関係しています。それらは以下の2つです。

  • 肉体が発揮する力を向上させること(フィジカルな部分、ハードウェア)
  • 体を操作する能力や状況分析向上させること(ソフトウェア)

現実的に、軍艦や戦闘機はOSの更新、ソフトウェアのアップデート、アビオニクスの更新によりハードに対する改修を最小限に抑えつつ大幅な性能向上を実現しています。

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兵器や産業機器と同様に、ソフトウェアのアップロードは中国武術の技能向上にも大きな役割を果たします。本日は中国武術におけるソフトウェアのアップデートの重要性を航空兵装のアビオニクスの概念も借用して解説します。

アビオニクスとは

飛行機のコクピット飛行機のコクピット

アビオニクスとは、航空機に搭載され飛行のために使用される電子機器のことです。航空を意味するAviationと電子機器のelectronicsを合成した造語です。アビオニクスには以下のような機器が含まれています。

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飛行制御プログラム

飛行姿勢や速度、最適な飛行状態を制御したり、失速回避、失速からの復帰を行うプログラムです。現在の戦闘機の機体は静的安定性を敢えて不安定にし、高性能な制御プログラムを駆使して運動性を向上させたものが主流となっています。

通信機器

地上や周囲の航空機の位置を把握したり連絡を取るための通信機器です。無線通信技術です。

航法システム

飛行機が航路から外れていないかを判断し位置を確認するシステムです。

自己診断システム

飛行機に組み込まれた各種システムが制御下にある機器の不具合状況を収集するシステムです。これが空港に送信されれば飛行機が空港に到着次第部品交換が行えることになります。

航空機にはこのような機能を担う電子機器が組み込まれていますが、人間の脳や体もこれらの機能が内蔵されています。

中国武術でソフトウェアをアップデートするメリット

飛翔するF15E飛翔するF15E

中国武術においてソフトウェア部分をアップデートするメリットは以下の通りです。

情報伝達の効率化による打撃力の向上

ソフトウェアのアップデートにより体の中の情報伝達が効率化すれば、「打つ」という命令情報を発令してから体が動きはじめ動作が完了するまでの速度を短縮できます。また体全体の動作の統一性、つまり協調性を上げれば打突の瞬間にインパクトを集中できるので打撃力の向上が見込めます。鋭い打撃が打てるようになるということです。

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姿勢制御能力の向上によるバランス能力の向上

姿勢制御能力、つまりバランスを司るソフトの能力を向上させることで、運動能力が向上します。例えば、狭く不安定な姿勢で立ってもしっかり立ってるのと同じ程度の静的安定性を保てるようになったり、相手にバランスを崩されかけたときに、瞬時に体制を立て直すことができるようになります。

これにより取っ組み合いになったときバランスを崩されにくくなり、戦局を有利に進めることができます。こちらの方がバランス制御力に優れていれば相手を投げ飛ばしたり、投げ飛ばしながら同時に打撃を打ち込むこともできるでしょう。

全身協調性の向上

体の各部を効率よく接続し、全体の挙動を統一した命令で合理的に動かすソフトを脳に導入しそれをアップデートすることで全身の協調性が向上します。これはすなわち中国武術の整勁の概念です。全体の勁力の結合、この場合の勁力とは攻撃に使う力だけではありません。

全身が統制が取れずにばらばらに動くのではなく、「集団行動」やよく訓練され精鋭軍団が指揮官の命令に一糸乱れぬ動きで従い行動するように精錬された動作ができるようになります。

神経の伝達効率性向上による運動速度向上

体の運動神経というソフトの部分の性能向上をアップさせれば、運動速度の向上が可能です。一人の人が物差しを上から落としてからどれだけの速度で反応し、物差しをつかめるかという実験をテレビで見たことがあります。実験のモデルになっていたのは柔道の谷亮子選手でした。谷亮子選手の反応速度はやはり平均的な人間よりかなり早いという結果が出ました。

人間の神経の伝達はおそらく電気的な信号で成立していると思います(専門ではないのでよくわかりません)電気的な信号であるならば伝達物質の速度は一定であるはずですが、人間の反応速度には個人差があります。それはおそらく以下の3点に集約されます。

  • 刺激を受けてからその刺激を整理する速度
  • 整理された情報を基に体に適切な命令を出す処理を行う速度
  • 命令を受けた体が適切な行動を起こし動作が完了するまでの速度

これらの処理プログラムを高速化、効率化することにより、同じ体格、同じ体系でもパフォーマンスが変わります。一見同じようなスペックのPCでもOSとソフトのアップデートにより動作が快適になるのと同じ原理です。

戦闘機でもハードモジュールの更新を最小限にしながら、電気機器とソフトウェアの更新により陳腐化した戦闘能力を向上させる近代化改修は続けられています。1970年代後半に開発されたF16やF15は、これにより索敵能力や同時追尾能力などが強化され、コクピットもアナログ計器パネルからデジタルフルカラー液晶画面に更新され、性能は向上しています。

状況判断力と意思疎通力の向上

状況判断力と他の人のコミュニケーション能力を向上させれば集団で協調して動く際の動作の効率性が上がります。例えば前方の一人だけに対してのみ集中していた意識を全局面にいきわたらせたり、グループで共同作戦を実施する集団戦のような時に無駄のない効率的な動きができるかどうかです。

これはその戦局の状況の共有力や周囲の状況を分析し自分のやるべきことを瞬時に把握理解する訓練で行うことが可能です。現代の戦車戦では戦車同士が位置情報を索敵情報を共有し、攻撃目標を自動で振り分け、打ち漏らし、重複射撃を回避するシステムが構築されています。これと同じようなソフトを強化すれば人間も能力をアップできます。

サッカー選手やバスケットボールの選手はドリブルを行いつつも刻々と変わる状況に最適に対応できるように、このような状況判断、意思疎通を行いゲームをしています。

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体重当たりの格闘能力の向上

運動部分に係るソフトウェアの性能を向上させることで、体重を増やさなくても格闘能力の向上を実現できます。戦闘機でも軽戦闘機と大型戦闘機の場合、航続距離と兵器搭載重量、武装において大型戦闘機のほうが有利です。

これは人間だけでなく、熊、鹿、アイベックス、セイウチ、虎、カブトムシ、いろいろな動物においても同じです。体重が重く、体格が大きいほうが動物は強いです。ソフトウェア、つまり技術の向上はこの普遍的な傾向を多少カバーできる可能性を秘めているということです。

体格維持にかかるコストの低減

フィジカルな部分で一定の能力を維持しようと思えば、膨大な手間や時間、コストが発生します。例えば、週3か週4でジムに通い、筋トレなどをして筋肉を維持し続けなければなりません。また人間の肉体の能力は18歳から25歳あたりにピークを迎え、その後は下降する一方となります。

激しい運動強度を伴う競技のトップアスリートが20代後半から30代前半で現役を引退するのはこのような生理学的限界があるからです。

ソフトウェア部分に着目して能力を維持しようとする場合、フィジカルな部分に着目するほどの維持コストは発生しません。一度自転車に乗れれば、しばらく乗っていなくても乗り方を脳が記憶しているのと同じように多少のトレーニングをするだけでまずまずの状態をキープできます。燃費が良く省エネです。

但しこれはソフトが開発され体とのインターフェイスが完全になじんだ後の話です。そこまでのソフトの調整、ハードとインターフェイスが順応するまではそこそこの時間がかかります。

どうすればソフトをアップデートすることができるのか

飛行するF35飛行するF35

それは膨大な手間をかけた練習と絶え間ない試行錯誤、そして創意工夫です。それと術理への正しい認知と理解です。中国武術ではこれらを総称して「功夫」といいます。

中国武術とソフトウェアアップデートのまとめ

飛行するF22飛行するF22

今回は中国武術において、ソフトウェア部分の能力向上について例えを交えて解説しました。今回私は、中華文明の感性になじみがない方がいらっしゃるのを考慮して、ソフトウェアという言葉を使いましたが、中国武術の概念ではこれはまさに「内面」「内力」という概念となるものです。

またたとえ話になってしまいますが、現代の海上自衛隊の汎用護衛艦の最大船速は35ノットです。これは大正時代から昭和初期にかけての条約型巡洋艦と変わりません。軍艦の基準排水量、装甲厚、艦砲の砲撃力、射程距離等においては第二次世界大戦以前に設計された大和級、加賀級、長門級戦艦や天城型巡洋戦艦のほうが優れています。

ですが、ダメージコントロール、索敵能力、レーダーやソナー、情報処理と連携能力、精密射撃能力、迎撃能力、近接防御能力、レーダーへの欺瞞能力などは現在の艦船のほうがはるかに進歩しています。これはまさにソフト面の能力向上によるものです。

中国武術も内面を煉り精錬させることにより、大幅な能力向上が見込めます。年齢による体力低下を少しでも補うことができます。中国武術を煉るにあたり、内面の能力向上について考えて練習をしてみてください。きっと大きな収穫が得られると思います。

このブログが皆様の中国武術研鑽の参考になれば幸いです。

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