皆さんはどちらの老師から中国武術をならっていますか?日本人、中国の方、華僑、様々なところで習われていると思います。
中国大陸や台湾地区の老師の元に通いながら武術の指導を受けている方もいらっしゃるでしょう。本日は中国人の老師を訪問したり指導を受ける際に留意すべきことについて解説します。
目次
老師を訪問する際に気を付けること
中国人老師を訪問する際に留意したほうが良いことは以下の通りです。
老師の経歴を調べておく
訪問したい老師の経歴は予め一通り調べておきましょう。
- 出身地(省籍)
- 経験した門派
- 得意とする門派
- 属する派閥
- 老師の師と伝承
- 老師と懇意の業界人
- 日本人に対するイメージ
等はあらかじめ調査しておいたほうが良い内容です。今はインターネットで検索すればこのあたりの情報は簡単に得ることができますので調べてみてください。中国武術を学ぶにあたっては日本語の情報はすでに誰かの垢に塗れた二次情報ですので出来れば中国語の一次情報から情報収集に当たることをお勧めします。
知り合いに紹介してもらう
老師を訪問する際には、知り合いの紹介にて老師を訪問することを原則としましょう。今では少なくなりましたが、伝統的な武術家はいまでも保守的な考え方を持っている人が多く
「一見さん」に対して警戒心を解かない方がいます。見知らぬ人が突然訪問してくるのですから当然です。
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共通の知人にあらかじめ訪問の目的、時間、自身の略歴を伝え、老師の承諾を得た後知人とともに訪問をするようにしましょう。そうすれば警戒心は相当薄れ、少なくともお客さんとして迎えてくれると思います。
通訳をつける 中国語を学ぶ
老師を訪問する際には、通訳を手配しましょう。せっかく老師を訪問するのですからキッチリとした意思疎通がはかれた方が収穫が多くなります。コミュニケーションが不十分な状態で老師を訪問しても面談が不調に終わります。
自身で中国語をしっかりマスターすることもおすすめします。人を介した言葉より、自分で咀嚼できるに越したことはありません。
握手
日本では「お辞儀」をすることが挨拶の基本とされていますが、現代の中国文化ではどちらかと言えば握手のほうが多いです。
お辞儀が悪いとは思われることはありませんが、外国を訪問して日本の作法で全てを行おうとすることには違和感を感じます。
自己紹介
老師を訪問した際には挨拶の後簡単に自己紹介をしましょう。その際には簡単に自分の経歴を伝えておきましょう。相手はこちらの一挙手一投足を見ていますので経歴を詐称したり誤魔化してもすぐに見つかります。正直に、且つ奢らずに謙虚に自己紹介をしましょう。
中国武術に対する情熱を伝える
訪問する老師に対し、中国武術に対する自分の熱意をアピールすることをは重要です。中国武術に興味があり、中華文明に対し敬意を持っていることは是非伝えましょう。
録音とメモ
老師訪問時の内容はメモしても構いません。特に中国の地方の老師の場合方言が強く、音を聞いてもほとんど聞き取れないことがあります。その時はメモが威力を発揮します。音声の録音をしたい場合はあらかじめ了解を得てから録音をさせてもらうようにしましょう。
土産を持っていく
老師を訪問する際にはなにか手土産を持参しましょう。出来れば老師が好きなものを予め聞いておくことが望ましいです。
甘い物なら日本の和菓子の詰め合わせお酒が好きなら入手困難な大吟醸、プレミアのついたジャパニーズウイスキー、日本の葡萄で作られたワイン等もおすすめです。もし老師の嗜好が分からなければ、高価格帯のスコッチウイスキー等が無難かもしれません。
日本の工芸品も喜ばれます。螺鈿細工や本漆の入れ物等、凝ったものが良いと思います。瀬戸物で言えば、Noritakeのティーカップなどもいいと思います。
「つまらないものですが」と言いながらお土産を渡すのはとても失礼です。相手に敬意を払っていることを示すため自慢の一品です、としてお土産を持参しましょう。
謝礼を払う
老師を訪問し、時間を取っていただいたお礼として、お土産の他に現金で謝礼を払うようにしましょう。手間を取って時間を割いていただいたお礼の気持ちです。
お礼を渡す際には、お札は偶数の枚数にしてお渡ししましょう。封筒にいれたり、紅包に入れたりして予め準備しておくとスマートです。お礼の相場は様々ですが、しみったれた奴だと思われないために気持ち多めにお渡ししましょう。
他で習ったものを自分から見せない
自己紹介するのは大事ですが、相手から要請されてもないのに、自分から習ったものを見せびらかさないようにしましょう。もちろん、老師から請われた場合はとっておきのものを表現しましょう。
謙虚にすること
こちらからアポイントをとって老師を訪問するわけですから、訪問中は謙虚に誠実に振舞いましょう。訪問する方はお年を召した方が多いと思いますが、若い老師でも老師は老師です。中国武術は年下でも先に門を叩いた者が師兄です。
老師を訪問する際避けるべきこと
老師を訪問する際に避けるべきがあります。それを以下に説明します。
つまらないものをお土産にする
上でも解説しましたが、老師を訪問する際にはつまらないものを土産にするのはやめてください。「つまらないものですが」という価値観は日本の島社会では通じますが、中華社会では通用しません。つまらないものを持って行く人は、本人までつまらないものとされてしまいます。
時計を土産にする
時計を持って行くこと(鐘と終とが同じ発音で、「今後一切関わらない」という意思表示になります)
アポなし訪問
老師を訪問する際にアポなし訪問はできれば避けたほうが良いです。公園で教授している場合は声をかけても大丈夫な場合もありますが、できれば「〇〇の紹介で」という具合に紹介をうけて訪問するほうが丁寧に対応してもらえます。
挑戦的態度
老師を訪問する際には、挑戦的態度はやめてください。老師に敬意を表し、謙虚で誠実な態度で老師と接してください。大人しい紳士的な服装を着るようにしてください。
面子を潰すこと
こんなことをやる方はいないでしょうが、老師の面子を潰すような言動はやめたほうが良いです。その場はそれで済んだとしても武術界で生きていくうえで後々禍根を残します。
まとめ
本日は中国武術の老師を訪問する際に留意することを紹介しました。中国武術を習うには、日本の方から習うという方法もありますが、時間が許せば本場の空気に触れて、本場の老師を訪問し、教示を受けるなり、武術の歴史や要訣を問い合わせるなりしてみたいものです。
本日は、私が台湾地区や中国大陸の老師を訪問した際に気に留めたほうが良いと感じたことをまとめました。本日のブログが皆さんの中国武術研究の参考になれば幸いです。