中国武術に限ったことではないですが、スポーツは体力を消耗します。消耗した体力を回復したり集中力とやる気を高めるため、昼寝の意義が見なされています。本日はアスリートにとっての昼寝の重要性について解説します。
昼寝をするメリット
昼寝をするメリットは以下の通りです。
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暑い時間帯を避ける
一般的に一日の気温が最も高いのが午後1時頃から3時ごろです。この時間帯に炎天下で運動をすると、体温が高まり熱中症になるリスクが高まります。昼食後、しばらく昼寝をすれば、一日でもっと暑い時間での運動を避けることができます。
南方、または暑い地域で昼寝の習慣があるのは、最も暑い時間を避け暑気をはらうという意味で合理的な選択行為です。
昼食後の消化促す
日本の人は、「食べてすぐ寝たら牛になる」といいます。私は生まれてこのかた、食べてすぐ寝て牛になった人間を見たことがありません。これが本当なら、牛の中には、過去に人間であったけれども、食事をしてすぐ寝てしまったせいで牛になった元人間牛が相当数含まれていることになります。
ただしこれは私がこの目で、人間が食後すぐ寝転んで牛になっしまった瞬間を見たことがないだけかもしれませんが。
昼寝をしたり、食後休息をすることで、食後の激しい運動を避けることができ、消化を助け、体調を整える効果があります。中国人の老師から、食後は最低30分は体を動かさずにゆっくり休むこと、というアドバイスを実際にもらったことがあります。
ガツガツ早くたべて、食後にすぐに動き出すほうが体にいいのか、食後はゆっくり体を休めるほうが体にいいのか、意見が分かれるところです。
集中力が高まる
寝ることは脳を休めることになります。昼寝をして脳の疲れを適切にとれば、リフレッシュし、集中力が高まり午後の練習のパフォーマンスが高まります。また集中力が高まれば、体全体に意識が行きわたるため、怪我の確率が下がり、安全なトレーニング環境に貢献します。
人間の時間と労力という資源は有限です。この限られた資源をいかに効率的に活用できるかどうかで、やりたいことで成果を出せるかどうかが決まります。中国武術も同じことが言えます。
やる気が出る
アスリートにとってもっとも難しいのが、「やる気を保つ」ことです。オーバートレーニングで心が疲弊してしまうとやる気が出て来なくなります。やる気が出ない状態での練習は、上述の集中力にも影響が出ますし、技術の向上意欲を失わせパフォーマンスの低下を招きます。
昼寝をしたり、ぼーっとすることは脳に休息を与えるため、何かをやろうという「やる気」をおこすきっかけになります。
生理的に昼寝をするように作られている
明るくなれば目覚め、暗くなったら休むという昼行性動物である人間は、早朝に起床した場合、起床から8時間程度たったころに眠くなることが示されています。この時間に昼寝を取ることは理にかなった行為だと言われています。
寝ると体が作られる
昼寝をすると身体を休めると同時に体づくりが行われます。動いていた時に消耗した体は、休める間に修復され、その過程で体はさらに成長します。積極的に休養を取ることは、練習、栄養補給と同じほど重要とされています。
昼寝の注意点
昼寝を長くしすぎると、夜の寝つきに影響が出ると言われています。欲する睡眠時間は季節、人それぞれによりより異なります。昼寝は20分が最適だという研究もありますし、1時間半程度が望ましいということも言われています。これについては適宜自分の中で最適な昼寝時間を探してみてください。
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中国武術において昼寝を取り入れることのまとめ
朝練、午前中の練習、夕刻の練習、食後の自習、等を課しているような選手、アスリートのみなさん、昼寝を取り入れて全体のパフォーマンスの向上を図ってみてはいかがでしょうか。
中国人は、昼寝の効果が科学的検証される前から、経験的に昼寝の効果を認識し、生活に取り入れています。理にかなったものと偽科学的な体系が入り混じった中国武術と中国人の世界観ですが、中には合理性のある物が含まれています。これについて参考にし、適宜取り入れて頂くのも面白いと思います。
私が所属している武館も午後は練習はお休みです。老師は朝3時ごろから起きて自分で自分のカリキュラムを練習していました。そして午後はお昼寝をしていました。
以前私が少林寺の麓でお世話になった「少林禅院武館」の練習も練習は午前中と夕方4時からの2コマに分かれており、昼食後の時間は休憩、お昼寝の時間でした。
中国武術に限らず、スポーツの上達に必要な要素は練習量と練習の負荷だけではありません。栄養の摂取と休息が、練習と同じくらい重要です。今回はその中でも休息の中の最も基本的な部分である、睡眠、とくに昼寝について解説しました。練習には昼寝を取り入れてトレーニングの効率を高めるように工夫してみてください。