中国武術

貼身靠打と放長撃遠それぞれの特徴とメリット

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中国武術では、肌身がこすれ合うほどの接近戦法を得意とする拳種や拳派の風格を貼身靠打と表現します。心意六合拳、八極拳、翻子拳などがその代表格です。また距離を保ち、ロングレンジでの攻防を得意とする拳種や拳派をの風格を放長撃遠表現します。劈掛拳、通背拳、査拳が代表選手です。

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本日は、貼身靠打と放長撃遠それぞれの特徴とメリットについて解説します。

貼身靠打

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貼身靠打の特徴は以下の通りです。

相手の死角から攻撃できる

接近戦は相手との距離が近くなり、一件いろいろな攻撃を食らいそうですが、相手の死角に入り込む技術があれば攻撃を食らう可能性は減ります。いわゆる懐に入り込むというという技術、それから絶妙な角度で相手の虚に付け込む技術です。

例えば、相手の腕の外側の肩の裏手あたりに小さく回り込むことができれば、相手は攻撃の選択肢はきわめて少なくなります。

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相手は威力を載せられない距離から打てる

もし相手が、接近技法に習熟しておらず、モーションの大きな打撃しか出せない場合、接近短打の技術は大きな優位性を発揮します。相手が威力を載せられない距離から、こちらは威力の乗った打撃を打つことができるからです。

但しこれを習得するにはコツを掴み、胴体内で動きにブレーキがかかってしまわないような緩みを作り、胴体で打撃力を増幅できるような動きを作らなければならず時間と手間がかかります。

重心を奪いやすい

貼身靠打は、相手の重心中心との位置が近いところで攻防のやり取りをするため、重心を奪うのが用意です。人間は本能的には、重心が不安定な状態から攻撃を繰り出してくることはありません。

重心をふらつかせ続ければこちらが打たれる可能性を下げることができます。中には重心が不安定な状態で攻撃動作ができるように訓練している人間もいます。

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投げに移行しやすい

相手の重心の真下に入れば「摔」という投げが使えます。これについては、技術と経験のせめぎ合いになりますが重心を崩す経験が多い人には有利な間合いです。

術の優位を生かしやすい

接近技法では、人間の死角を理解し、そこに移動するステップワーク、腕の死角からの攻防、短距離攻撃での打撃の加速、密着距離からの寸撃等、様々な技術的要素が使えますので、技術の優位性を生かしやすい距離と言えます。

体重が重い人に有利

接近戦では、投げや靠打が有効に使えることから、それらの技術体系をうまく使える体重が重い人に有利な距離でもあります。

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技巧育成に訓練が必要

貼身靠打は、先ほども申し上げた通り、瞬発力、反射神経、回転、運動神経が介在する比率と比べ、技術と訓練の成果に占めるところが大きいことから技術の優劣が勝敗を分けます。

但し、この技術の育成には相当な時間と手間がかかります。人間の反射神経や運動神経は25歳ごろをピークに年齢とともに下降していきますが、技術と経験を蓄積し貼身靠打に熟達することでこれの弱みを緩和することができます。

貼身靠打で考えなければならないポイントは、一つは長距離の弾幕の中を以下にすり抜けて相手の懐に入り込むかです。これは各門派の歩法や角度の考え方に秘訣があることが多いです。研究してみてください。

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放長撃遠

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放長撃遠の特徴は以下の通りです。

安全な距離から攻防が行える

放長撃遠は、遠い間合いをキープすることができますので、安全な距離から攻防が行えます。霊活なステップワークを加えて距離を保ち続けることができれば、攻撃をくらう可能性が減らせます。いわゆるボクサータイプの戦法です。

予備動作を作る距離があるため打撃力を生み出しやすい

放長撃遠の距離では、予備動作を行う空間があるため、中国武術でいう蓄勁を行いやすく大きな打撃力秘めた攻撃を出しやすいです。攻撃の助走をつけやすい距離であると言えます。その代りうまく立ち回らなければモーションが大きくなり攻撃が読まれやすくなります。

反応が早い人に有利

反射神経や回転力が早い人にはアウトレンジからの連続攻撃はアドバンテージとなります。
相手が反応しにくい高速の連続攻撃を流星群が流れ落ちるかの如く、または雨が降り注ぐがごとく畳み掛けることができます。

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手足が長い人に有利

放長撃遠の攻防には、手足が長く、背の高い人が有利です。腕が短いと言われてる方でも、訓練によって肩甲骨あたりの筋と腱を緩めることにより誰でも拳一個分の距離は稼ぐことができるようになります。これができれば、相手の射程外の距離から貫通力の高い砲弾が撃ち込めます。

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まとめ

中国の風景中国の風景

本日は貼身靠打と放長撃遠について解説しました。

貼身靠打を取るか、放長撃遠を取るか、またはその中間をとるか、は個人の嗜好、体格、経験により異なります。自分の好きなものを選んでいただければと思います。私の場合、まずは放長撃遠から入り、貼身靠打については今研究中の段階です。

もし厖大な練習と工夫により、貼身靠打と放長撃遠を両立しこれらを兼ね備えればまさに神鬼も恐れる技芸を持つことになると思います。

長距離、短打、様々な技芸を組み合わせ、技術に彩りを添えてみてはいかがでしょうか。

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