中国武術

逆腹式呼吸とは 中国武術への活用方法

逆腹式呼吸

普段私たちは呼吸に意識を向けることはありませんが無意識のうちに呼吸を行っています。

中国武術と呼吸
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一般の方でも胸式呼吸と腹式呼吸という言葉を耳にしたことがあると思いますが、ヨガや中国武術、ある種の瞑想法においては一般的な腹式呼吸を順腹式呼吸と呼び、順腹式呼吸と逆に行う呼吸を逆腹式呼吸と呼びます。

中国武術の門派の中にはこの逆腹式呼吸を動作に織り交ぜることを重視するものもあります。本日は逆腹式呼吸について解説します。

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逆腹式呼吸とは

池のハスの花池のハスの花

逆腹式呼吸とは、順腹式呼吸とは反対に息を吸うときに腹(上腹部)をへこませ息を吐くときに腹(下腹部)を膨らませる呼吸です。通常の腹式呼吸は無意識下でも自然に行われますが逆腹式呼吸は意識的に行う呼吸です。

逆腹式呼吸のメリット

石積みのある海岸石積みのある海岸

中国武術において逆腹式呼吸を取り入れるメリットは次の通りです。

深い呼吸を行える

逆腹式呼吸では意識により横隔膜や腹部を動かすことにより能動的に空気を多く取り込み、
大きく吐ききることにより順腹式呼吸よりもさらに深い呼吸を行えるとされています。

中国の導引術や養生術、気功ではこのように下腹部を意識し、深い呼吸をすることを「丹田呼吸」や「丹田吐納」ということもあります。お腹を膨らませたり、胸を大きく使い大きく息を吸い込むことはイメージしやすいですが、空気を深く吐くことは意識的に行わなければ
難しいです。下腹部を意識すれば深く吐く呼吸が自然に身に付きます。

腹部の筋肉を大きく動かす

逆腹式呼吸を行う時には腹部や腰部の筋肉を意識的に動かして呼吸をしますので自然な呼吸を行うときとは異なる部位を使うことになります。日常生活では意識されることのない背筋などの筋肉、つまりインナーマッスルが動きます。よってインナーマッスルが鍛えられ、活性化することになります。

重心が落ちる

逆腹式呼吸を行い下腹部を充実させることにより、容易に重心を落とすことができます。逆腹式呼吸を行い意念を臍より下まで持ってくることにより、みぞおち当たりにある意識の中心を強制的に骨盤の中のほうまで押し下げることができます。

これにより意識上の重心がさがり、日本語でいうと「腰が座る」状態になります。浮き上がりにくくなり、投げられたり、浮ついてしまう可能性が下がります。

放鬆と含胸拔背が自然にできる

逆腹式呼吸で大きく息を吐くことにより、体全体が自然に緩み、胸を張った状態がなくなるため中国北派武術共通の重要な基本要訣である「含胸拔背」が簡単に実現できます。

気持ちが覚醒する

逆腹式呼吸を行えば、深く息を吐くことになるため体がリラックスし、同時に気持ちもリラックスします。ですから自分の体に身の危険が及んだ場合でも精神がリラックスしながら集中する「覚醒状態」を作り出しやすく、強張ってしまうことにより足が「居つく」事を防ぐことができます。

落胯ができる

逆腹式呼吸により、下腹部に意念を置くことにより落胯が出来上がります。落胯ができれば尾てい骨や臀部が落ちつくため、重心がさがり、安定感が増します。また股関節が緩み霊活性が増すため上半身と下半身の連動が行われやすくなりいます。

勁力増強を補助する

逆腹式呼吸で息を吐く局面において、下腹部が充実することは、気沈丹田の表現と重なります。これは技撃的には勁力増強を補助することになります。打つ瞬間のタイミングを空気を吐くタイミングと同調させることにより、瞬間的に重心を落とすことが容易になり、本来打撃時に受ける真正面に受ける反動を上手く地面に逃がすことができます。

これを沈勁と表現する方もいますが、姿勢を低くする、腰を落とす、ということは武道や格闘技、人と人とが体重の交換を行うスポーツでは普遍的にみられることです。

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逆腹式呼吸を行う方法

川原の風景川原の風景

次に逆腹式呼吸の仕方を解説します。

息を吸うときに、臍より下の下腹部を凹ませるようにしながら息を吸います。臍より上のおなかが膨らみますが胸は膨らませません。

息を吐くときには臍より上の部分を凹ませながら臍より下の下腹部を膨らませます。下腹部だけでなく背中の腰側部分にも膨らみが発生します。逆腹式呼吸はこの二つを繰り返すだけです。

逆腹式呼吸のその他考察

夕焼けに瞑想する女性夕焼けに瞑想する女性

逆腹式呼吸についてその他の考察を以下に解説します。

内臓へのマッサージになる

逆腹式呼吸は腹式呼吸よりも小腸大腸などへの刺激が行われるため内臓のマッサージになり体に良い、或いは内臓脂肪の減少等の効果があるという説もありますが、内臓のマッサージがそもそもどのような概念なのか、また内臓がマッサージされることによりどのような効果があるのか、逆腹式呼吸を行った場合と行わない場合の内臓や内臓脂肪に変化があるのか、等は検証結果が科学的に証明されるのを待つことにします。

腸管神経系の開発

腸には腸管神経という無数の神経節が神経細胞が繋がれた神経系が存在すると言われており、これは脳からの指令がなくても基本的な機能を遂行すると言われており、第二の脳ともいわれます。

逆腹式呼吸を行うと順腹式呼吸と比べて内臓、特に腸が大きく動かされます。逆福祉呼吸による腹部の動きが神経系統に何らかの刺激を与える可能性があることが示唆されていますが、私はこの道の専門家ではなく、この部分について実体験をお話しすることはできないため、考察に留めさせていただきます。

まとめ

コーカサス山脈コーカサス山脈

本日は逆腹式呼吸についてと、逆腹式呼吸を中国武術に取り入れることの意義などを解説しました。逆腹式呼吸は初めは意識的に行わなければ持続できないものですが、慣れれば無意識に行うことができるようになります。無意識に行えるようになった時点で逆腹式呼吸も自然呼吸となります。

また中国武術では絶対に逆腹式呼吸で行わなければならないということはなく、順腹式呼吸をしながら動作を行っても良いですが、逆腹式呼吸を行えば中国武術が求めるより深い部分を知るきっかけになる可能性があります。技撃的にも意義のある呼吸法ですのでこれを生かさない手はありません。

また中国武術で出会うことになる逆腹式呼吸という概念が、導引術、気功、養生術、仙術に対して興味がでる発端となるかもしれません。もし興味があるかたは逆腹式呼吸について指導者に問い合わせをしてみることをお勧めします。

本日の内容が皆様の中国武術の研究の助けになれば幸いです。

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