武術太極拳という国体の公開競技種目競技があります。私は武術太極拳という名称を初めて耳にしたとき時「健康維持を目的とするのではなく、技撃性の高い太極拳」を定義するものだと認識しました。ですが、よく調べてみると、武術太極拳とは、技撃性の高い太極拳ではなく、競技名であることが分かりました。
私は武術太極拳という名称を目にするたび、なかなかユーモアがあるなぁとおもいます。また同時に今でも大きな違和感を感じます。本日は武術太極拳について解説します。
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目次
武術太極拳とは
競技化された太極拳、長拳、南拳の総称です。ちなみにこの競技名は、
日本では太極拳の愛好者人口が圧倒的に多いことから、太極拳と各種の中国武術、中国拳法を総称して、「武術太極拳」の名称で普及をめざす
太極拳の愛好者の人口が圧倒的に多いことから名づけれたとのことです。ということで武術太極拳は健康増進を目的として行う健康太極拳の対義語ではないということです。
技撃性を求める太極拳はどう呼べばよいのか?
健康増進を目的として行う太極拳を俗に健康太極拳と称したりしますが、そもそも太極拳の本場で健康太極拳という言い方をするのでしょうか?中国大陸地区の事は私はよくわかりませんが、少なくとも台湾省北部では健康太極拳という単語はほとんど耳にしたことはありません。
なぜならば太極拳のみならず、中国武術全体には養身、健身という目的と概念が含まれているため、わざわざ太極拳の前に「けんこー」という単語を付ける必要がないからです。
競技用ではなく、技撃性や文化的総合性を学ぶ太極拳を何と呼べばよいのでしょうか?台湾地区ではこの場合、伝統太極拳などと表現し、競技性の強い太極拳と伝統的なものを区別する傾向はあります。
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長拳と南拳が太極拳に含まれる?
この「武術太極拳」というなんとも重複的な印象の単語を張ってもらった競技を楽しむ方の中には、中国の伝統的な概念をあまりご存じにならない方もいらっしゃるともいます。そのような愛好者の方が、「武術太極拳には、太極拳と長拳と南拳がある」と説明を受ければ、考証を行わないままそのイメージを持ってしまうことにもなりかねません。
太極拳が長拳に含まれる、という言い方はできなくもないため、なんとか我慢できるギリギリのラインです。長拳というのは、査拳、華拳、炮拳、など馬歩、弓歩、虚歩を主体とする門派の総称であり、太極拳の下位に長拳があるという構造は完全に間違いです。
南拳は構造そのものが違うため理屈としてもっとおかしい。そもそも何を以て南拳というのでしょうか。福建系と廣東系でも構造は全く異なります。
華人が「武術太極拳」という名称を聞き、その解説を受けた時の反応
「日本では太極拳、長拳、南拳を含めた協議武術のことを武術太極拳と呼ぶ」と華人の友人に説明したことがあります。全員、顔が?????になったのを覚えています。
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武術+太極拳という重複概念
私が違和感を感じる理由は大きく分けて以下の3つの理由からです。
違和感その1 武術と太極拳が重複概念だから
武術と太極拳は重複した概念です。球技野球、球技サッカー、武道柔道、武道剣道、弓術アーチェリー、そういう名詞の使い方をする人がいるでしょうか。
違和感その2 太極拳に長拳と南拳が含まれるというのはチャンチャラおかしい。
これは球技野球にソフトボールと三角ベース、クリケットが含まれるっていう考え方ですね。ユーモラスな考え方だと思います。
違和感その3 なぜ日本だけ別の名前にする必要があるのか?
競技武術というスポーツは世界的にはWUSHUです。同じ名前にすれば世界にも通じていいのではないかと思います。日本人は、漢字に標準的な音以外をこじつけることを抵抗なく受け入れる土壌があります。
北京(ほくけいではなくペキン)、上海(じょうかいではなくシャンハイ)、香港(こうこうではなくホンコン)など、功夫(カンフー)もそう。同じようにすれば日本が官民一体で目指す国際化ができるのではないでしょうか。
競技名について私からの提案
これは私からの個人的な提案なのですが、武術太極拳は競技ということですので、武術太極拳ではなく、競技名を「競技太極拳他」という競技名にしてはどうでしょうか。これのほうが、現実に則していてわかりやすいのではと思います。